「ザ・ハイウェイメン」というカントリー・ミュージックのバンドがアメリカに2つあります。今回紹介したいのは、1980年代中期に企画された4人の大物ミュージシャンによるスーパーグループのハイウェイメンです。
1085年にジョニー・キャッシュ、ウィリー・ネルソン、ウェイロン・ジェニングス、クリス・クリストファーソンによって結成されました。
4人ともカントリーミュージック界の超大物です。ジョニー・キャッシュ、ウィリー・ネルソンに関しては大物すぎて、日本の洋楽ファンなら名前くらいは知っていると思います。
クリス・クリストファーソンはジャニス・ジョプリンで有名な「Me And Bobby Mcgee」の作者としても知られています。
私的には1975年の映画「コンボイ」と、ボブ・ディランの30周年記念コンサートで司会をしていたことが印象が残っています。
ウェイロン・ジェニングスのみ不覚にも名前くらいしか知りませんでしたが、アメリカではアウトローカントリーとして有名です。
54枚のアルバムがチャート入り、うち11枚が1位を獲得、ローリング・ストーン誌の “100人の偉大なカントリーミュージックアーティスト、オブ・オール・タイム” で堂々7位となっていて、知らないほうがおかしいと言われるような人物です。
ザ・ハイウェイメンのキーワードは「アウトロー」です。無頼な一匹狼なんです。それなら手を取り合って仲間を作ってたらダメじゃん、というご意見もあるでしょうが、ここでは触れてはいけません。
というより当時の(今も変わっていませんが)カントリーミュージックの惨状に危機感を持って集まったというのが正直なところだと思われます。
とはいえ、カントリーミューックについてはアメリカでは歴史がありそれなりに需要が多いようです。
ラジオの専門チャンネル、売り上げの専門チャートがあったりして、地域によっては、というより都市部以外では生活に密接に根付いている音楽のようです。
そういう文化の中ではビジネス的にも安定しているためあらかじめ需要が見込めます。アルバム制作にお金をかけられます。
カントリー,ブルーグラス などのバンドは基本的にはヴォーカル、ギター、バンジョー、ベース、ドラムス、フィドルに鍵盤楽器がが加わる程度で、音的には極めてシンプルです。それを各楽器の名手がきちんとした環境のスタジオで録音するので、当然音質も含めてクォリティの高いアルバムがリリースされます。
そうしたことを踏まえて、このスーパーグループに至ってはプロジェクトの全てが最上級と言えます。バックミュージシャンもエンジニアも超1流です。
カントリーミュージックのエッセンスを十分に堪能できるアルバムです。
アルバム「ハイウェイマン」のご紹介です。
演奏
ジョニー・キャッシュ ヴォーカル
ウィリー・ネルソン ヴォーカル、ギター
ウェイロン・ジェニングス ヴォーカル、ギター
クリス・クリストファーソン ヴォーカル
J.R.コブ ギター
ジーン・クリスマン ドラムス
ポール・ディヴィス キーボード、バックグラウンドヴォーカル
ボビー・エモンズ キーボード
マイク・リッチー ベース
チップス・モーマン ギター、バックグラウンドヴォーカル
ミッキー・ラファエル ハーモニカ
ジョニー・ロドリゲス バックグラウンドヴォーカル
マーティ・スチュアート ギター・マンドリン
ジミー・タイトル ベース
ボビー・ウッド キーボード
レジー・ヤング ギター
曲目
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。
1, Highwayman ハイウェイマン
4人で回してリードヴォーカルを取ります。王道です。挨拶がわりのこの曲で、この後の展開に期待を持たせる感じがいいのです。
2, The Last Cowboy Song ラスト・カウボーイ・ソング
これも4人で歌います。ちょっと気怠い感じのコーラスもノスタルジックでいい感じです。
3, Jim, I Wore A Tie Today ジム、今日はネクタイを
語りかけるようなウィリー・ネルソンとジョニー・キャッシュのヴォーカルです。
4, Big River ビッグ・リバー
ジョニー・キャッシュの曲です。打って変わってリズミックな曲になります。4人で歌います。
5, Committed To Parkview コミッテド・トゥ・パークビュー
これもキャッシュの曲です。ウィリーと二人でしっとりと歌います。
6, Deportee (Plane Wreck At Los Gatos) ディポーティー(ロス・ガトスの飛行機事故)
前の曲の雰囲気を繋ぐように、4人で歌います。さすらいのフォークシンガー、ウディ・ガスリーの曲です。
7, Welfare Line ウエルフェア・ライン
いかにも物語を紡ぐカントリー的な作りです。
8, Against The Wind アゲンスト・ザ・ウインド
ボブ・シーガーの曲でポップス寄りの良いメロディです。
9, The Twentieth Century Is Almost Over 20世期はもう終わる
最後はホンキートンクで陽気な感じで終わります。
ついでに
男4人組のハイウェイメンに対抗して、2019年に女性4人組の「The Highwomen」がデビューしました。こちらも1曲目は「Highwomen」で同じ曲です。敬意が感じられます。
超一流のカントリーミュージシャンのグループではありませんが、全員西部の男を叱り飛ばすようなカウガールらしく、はすっぱな巻き舌の歌い方でなかなか良いです。
これです。
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