「永遠の絆」はアメリカのカントリーロックバンド「ニッティ・グリッティ・ダート・バンド」の19972年リリース、7枚目のアルバムです。
ニッティ・グリッティー・ダート・バンドは1966年にカリフォルニアで結成され、現在も続いています。
ヒット曲としてはジェリー・ジェフ・ウォーカーのカバー「ミスター・ボージャングル」が最も有名です。(本当にいい曲です)
また直近では2022年に「Dirt Does Dylan」というボブ・ディランのカバーアルバムをリリースしました。まだまだ気合が入っていて良いアルバムです。
nitty-grittyとはもともと奴隷貿易船から黒人が降りた後に残っているシラミやとうもろこしの残骸のことだったそうですが、それから転じて黒人のことを指すようになったとか。
「永遠の絆」というタイトルについてははカントリーミュージック界の重鎮、カーター・ファミリーで有名なゴスペルスタンダードです。
アメリカの音楽を深く聴き込んでいくと、ゴスペル、カントリー、ブルーズは深い部分で繋がっていることを感じさせます。
このアルバムでダート・バンドはブルーグラス、カントリーのトップミュージシャンとコラボレーションしました。
ゲストの良さを引き出すコラボの結果、歴史に残る評価の高いアルバムとなりました。
彼らの造詣が深いことがわかります。
この後も同じコンセプトで1989年に「Volume Ⅱ」、2002年に「Volume Ⅲ」と制作されました。
ゲストの皆さんはもうほとんどの方が鬼籍に入られています、
アルバム全編わたってフィドルのバッサー・クレメンツとベースのロイ・ハスキーが大活躍ですね。
ゲストミュージシャンを見ているだけで、すごいメンツを揃えたものです。
なおかつ、自分たちのバンドのためにではなく、ゲストに後世で評価されるような素晴らしい演奏をさせることに徹した、ということも感じさせるとっても素晴らしいアルバムです。
最初の曲、グランド ・オール・オープリーとは1925年から放送が始まったラジオ番組で、その番組のイヴェントとして歴史あるミュージック・フェスです。
今でもその名を冠した劇場「グランド ・オール・オープリー・ハウス」があり、アメリカ中のカントリー.ウエスタン、ブルーグラスにミュージシャンが集まります。
一度は行ってみたいイベントです。
アルバム「永遠の絆」のご紹介です。
ニッティ・グリッティ・ダート・バンドのメンバー
(「永遠の絆」制作、発表時のバンドメンバーです)
ジェフ・ハンナ ギター、ウォッシュボード、ドラム、パーカッション、ヴォーカル
ジミー・イボットソン ギター、ドラム、キーボード、ヴォーカル
レス・トンプソン ベース、ギター、マンドリン、バンジョー、ヴォーカル
ジョン・マッキューエン バンジョー、ギター、マンドリン、アコーディオン
ジミー・ファデン ドラム、ハーモニカ、ギター、ワッシュタブ、ベース、ヴォーカル
曲目と参加ミュージシャン
(NGDB以外のゲスト・ミュージシャンのみ記載させていただきます)
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。
Disc 1
1, Grand Ole Opry Song グランド・オール・オープリー・ソング
・ジミー・マーティン ヴォーカル (1927年8月10日 – 2005年5月14日)
*日本ではさほど有名ではありませんが、ブルーグラス界では高名です。
「ミスター・グッドゥン・カントリー」「ブルーグラスの王」と呼ばれていました。
・バッサー・クレメンツ フィドル (1928年4月25日 – 2005年8月16日)
*ブルーグラスの父と言われるマンドリン奏者ビル・モンローのバンドで活躍した、数々の受賞歴のあるフィドル奏者、ブルーグラスというジャンルはビル・モンローのバンド「ザ ・ブルー・グラス・ボーイズ」から来ているそうです。
・ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース (1956年12月17日 – 1997年9月6日)
*アメリカン・ミュージック至高のベーシストで、エミルー・ハリス、リンダ・ロンスタッド、ドリー・パートンの1999年コラボレーションアルバム「The Trio Ⅱ」はロイに捧げられました。
また、Tボーン・バーネットの2006年の「The True False Identitiy」もロイに捧げられています。
いきなり最初の曲からやり直すところが雰囲気があっていいですね。
2, Keep On The Sunny Side キープ・オン・ザ・サニー・サイド
・“マザー” ・メイベル・カーター (1909年5月10日 – 1978年10月23日)ヴォーカル・ギター
*カントリーミュージックの幹、カーターファミリーの重鎮です。
・ドク・ワトソン (1923年3月3日 – 2012年5月29日)
*盲目のギタリストで、フラットピック双方の第一人者です。
・アール・スクラッグス (1923年3月3日 – 2012年5月29日)
*ブルーグラスのバンジョー奏法はこの人によって確立されました。
・ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
カーター・ファミリーの代表曲で、ほのぼのとしたいい曲です。
3, Nashville Blues ナッシュビル・ブルーズ
アール・スクラッグス リードバンジョー
ランディ・スクラッグス ギター
ノーマン・ブレイク (1938年3月10日 – )
*ドク・ワトソンと同じくブルーグラス ギター、フラットピッキングの重鎮
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
ほのかな哀愁も感じさせる名曲です。
4, You Are My Flower ユー・アー・マイ・フラワー
アール・スクラッグス ギター
ノーマン・ブレイク ドブロ
ランディ・スクラッグス ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
これもほのぼのソングです。
5, The Precious Jewel ザ・プレシャス・ジュエル
ロイ・エイカフ (1903年9月15日 – 1992年11月23日)
*ヴォーカルキング・オブ・カントリー・ミュージックと呼ばれました。
アール・スクラッグス ギター
ランディ・スクラッグス オートハープ
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
6, Dark As A Dungeon ダーク・アズ・ア・ダンジョン
マール・トラヴィス ヴォーカル、ギター (1917年11月29日 – 1983年10月20日)
*カントリーギター、ロカビリーギターの基本です。彼の奏法はトラヴィス・ピッキングと呼ばれています。
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
マール・トラヴィスの代表曲でしみじみとした曲です。ジョニー・キャッシュのフォルサム刑務所ライブでも有名です。
7, Tennessee Stud テネシー・スタッド
ドク・ワトソン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
この曲と次の曲はドク・ワトソンの代表曲です。こちらは歌の代表。
8, Black Mountain Rug ブラック・マウンテン・ラグ
ドク・ワトソン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
こちらはドク・ワトソンのギターインストの代表曲です。
9, Wreck On The Highway レック・オン・ザ・ハイウェイ
ロイ・エイカフ リードヴォーカル
アール・スクラッグス ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
ロイ・エイカフの代表曲です。ブルーグラスの古典です。
10, The End Of The World ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド
ピート・“オズワルド”・カービー ドブロ
ドク・ワトソン ギター
アール・スクラッグス ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
カントリーの歌姫、スキーター・デイヴィスの有名曲です。
インスト曲ですがなぜか歌なしのバック演奏みたいな雰囲気もあります。
11, I Saw The Light アイ・ソー・ザ・ライト
ロイ・エイカフ リードヴォーカル
アール・スクラッグス バンジョー
ドク・ワトソン ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ランディ・スクラッグス オートハープ
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
カントリースタンダードでハンク・ウィリアムズの曲です。
12, Sunny Side Of The Mountain サニー・サイド・オブ・ザ・マウンテン
ジミー・マーティン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
さすがブルーグラスの王と呼ばれるジミー・マーティンのヒット曲です。
13, Nine-Pound Hammer ナイン・ポンド・ハンマー
マール・トラヴィス リードヴォーカル、ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
有名なブルーグラス・スタンダードです。
14, Losin’ You ルージン・ユー
ジミー・マーティン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
ほのぼのブルーグラスの名曲です。
15, Honky Tonkin’ ホンキー・トンキン
ノーマン・ブレイク ドブロ
バッサー・クレメンツ リードギター、フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
1947年にヒットしたハンク・ウィリアムスの曲です。
16, You Don’t Know My Mind ユー・ドント・ノウ・マイ・マインド
ジミー・マーティン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
これもジミー・マーティンのヒット曲です。
17, My Walkin’ Shoes マイ・ウォーキン・シューズ
ジミー・マーティン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
軽快でブルーグラスのテキストみたいな曲です。
Disc 2
1, Lonesome Fiddle Blues ロンサム・フィドル・ブルーズ
バッサー・クレメンツ フィドル
ランディ・スクラッグス ギター
エリス・パジェット ベース
カントリーブルーズです。アップテンポでほのかな哀愁を感じます。
ソロを回していきます。ベースソロも聞かれます。
2, Cannonball Rag キャノンボール・ラグ
マール・トラヴィス ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
マール・トラヴィスらしいギターインスト曲です。
3, Avalanche アヴァランシュ
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
フィドル大活躍の軽快なインストナンバーです。
4, Flint Hill Special フリント・ヒル・スペシャル
アール・スクラッグス バンジョー
ゲイリー・スクラッグス ギター
ノーマン・ブレイク ドブロ
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
バンジョー大活躍のインストナンバーです。
5, Togary Mountain トガリー・マウンテン
ノーマン・ブレイク ドブロ
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
これも軽快なバンジョー、フィドル、ドブロで回すチューンです。
6, Earl’s Breakdown アールズ・ブレイクダウン
アール・スクラッグス バンジョー
ランディ・スクラッグス ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
続けて軽快なナンバーです。ブルーグラスの良さが詰まっています。
7, Orange Blossom Special オレンジ・ブロッサム・スペシャル
バッサー・クレメンツ フィドル
ジミー・マーティン ギター
ランディ・スクラッグス ギター
エリス・パジェット ベース
素晴らしいフィドルチューンです。
フィドル世界の国歌と言われています。
8, Wabash Cannonball ワバッシュ・キャノンボール
ピート・“オズワルド”・カービー ドブロ
ドク・ワトソン ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
アール・スクラッグス ギター
ほのぼのとした感じが戻ってきました。
インストルメンタルチューンです。
9, Lost Highway ロスト・ハイウェイ
バッサー・クレメンツ フィドル
ノーマン・ブレイク ドブロ
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
ハンク・ウィリアムスで有名なカントリー・スタンダードです。
10, Doc Watson And Merle Travis First Meeting ドク・ワトソン・アンド・マール・トラヴィス・ファースト・ミーティング
巨匠同士の打ち合わせ風景です。貴重な瞬間です。
11, Way Downtown ウェイ・ダウンタウン
ドク・ワトソン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
続いてドク・ワトソンによるトラディショナルです。
12, Down Yonder ダウン・ヤンダー
ドク・ワトソン リードヴォーカル、ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
リラックスした雰囲気のインスト曲です。
タイトルは1921年にL・ウルフ・ギルバートによって書かれた曲でアメリカ南部のことです。
13, Pins And Needles (In My Heart) 心の痛手
ロイ・エイカフ リードヴォーカル
ピート・“オズワルド”・カービー ドブロ
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
ロイ・エイカフが歌うブルーグラス スタンダードです。
14, Honky Tonk Blues ホンキー・トンク・ブルーズ
ノーマン・ブレイク ドブロ
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
これもハンク・ウィリアムズの曲です。ローリング・ストーンズにつながります。
15, Sailin’ On To Hawaii セイリン・オン・トゥ・ハワイ
ピート・“オズワルド”・カービー ドブロ
ドク・ワトソン リードヴォーカル、ギター
アール・スクラッグス ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
ドブロ大活躍のタイトルイメージ通りの曲です。インストルメンタルです。
16, I’m Thinking Tonight Of My Blue Eyes 今宵、君に泣く
“マザー” ・メイベル・カーター ヴォーカル・ギター
アール・スクラッグス バンジョー
ピート・“オズワルド”・カービー ドブロ
マール・トラヴィス ギター
バッサー・クレメンツ フィドル
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
ヒルビリーにジャンル分けされるフォークソングです。カーターファミリーで有名です。
17, I Am Pilgrim 私は巡礼
マール・トラヴィス リードヴォーカル、ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
渋い感じのカントリー・ゴスペル・スタンダードです。
18, Wildwood Flower ワイルドウッド・フラワー
“マザー” ・メイベル・カーター ヴォーカル・ギター
アール・スクラッグス ギター
ロイ・“ジュニア”・ハスキー ベース
カーター・ファミリーで有名なカントリースタンダードです。
19, Soldier’s Joy ソルジャーズ・ジョイ
アール・スクラッグス バンジョー
スコットランドに端を発するバンジョー曲です。和やかな雰囲気が伝わります。
20, Will The Circle Be Unbroken 永遠の絆
フルメンバー
エイダ・ルース・ハバーションの作詞、チャールズ・ハッチンソン・ガブリエル作曲で1907年にできた讃美歌です。ゴスペル版もブルーズ版もソウル版もカントリー版もあります。
21, Both Side Now 青春の光と影
ランディ・スクラッグス ギター
しみじみと奏でるジョニ・ミッチェルの曲で終わります。
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