「シアー・ハート・アタック」は1974年にリリースされたブリテッシュ・ロック・バンド、クイーンの三枚目のアルバムです。
このアルバムの収録されている「キラー・クイーン」が大ヒット(特に日本では)して一気に上り調子となります。
一枚目、二枚目はカルト的な人気はありましたがここでようやくバンドの代名詞となるような「キラー・クイーン」のヒットによりメジャーな人気を得て、特に女性のロックファンから支持されるようになりました。
この頃はジャンル的にはハードロックです。
クイーンはフレディ・マーキュリーが短髪、髭、革ジャン、タイツ姿のハードゲイ風になるまではロックでもヨーロッパ的デカダンスを持ったアイドル的で芸術的な要素がありました。
ガムシャラで汗臭いロックではなくて、清潔で知的な感じがあったのです。まるで少女漫画から出てきたような雰囲気でした。
女子のファンも多く、当時中学生だった私のクラスでは特にロジャー・テイラーが人気でした。
余談ですが、2018年に映画「ボヘミアン・ラプソディー」が大ヒットして、クイーンがリバイバルブームとなりました。
実は私は評判にも関わらず映画を見ていません。
理由はなんと言いますか、フレディ・マーキュリーを除く他のバンドメンバーが全員とも「オリジナルの劣化コピー」にしか見えなかったからです。
昔からのブライアン・メイ、ジョン・ディーコン、ロジャー・テイラーファンはあれで納得できるのか?とそんなにファンでもない私から見ても心配になってしまいます。
クイーンについての思い出は、中学生当時にラジカセをステレオタイプに買い替えての初めてエアチェックで録音した曲が「キラー・クイーン」でした。素直に「なんてかっこいい曲なんだろう」と感動していたものです。
白状しておきますととクイーンについては一応あらかたのアルバムは知っていますが、そんなにのめり込んで聴いたバンドではありません。
なんせ70年代末からブルーズやブラックニュージックの方に興味が振れていった私ですから、クイーンは真逆のベクトルのバンドでした。
でも「シアー・ハート・アタック」だけは違います。
クイーンの代表作といえば普通は「ボヘミアン・ラプソディ」の収録された「オペラ座の夜」とか「ウイ・ウィル・ロック・ユー」や「ウイ・アー・ザ・チャンピオン」収録の「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」になるかもしれませんが、ロック的視点から見ると最高傑作は「シアー・ハート・アタック」なんです。
そういう人が世の中には少なからずいるような気がします。
アルバムは「ブライトン・ロック」に始まり「キラー・クイーン」と続きます。その後メドレー、ライブと続いてB面はコンセプトアルバム風です。
1st、2ndアルバムの集大成のようにも感じます。次作の「オペラ座の夜」が世界的大ヒットとなりますが、ある意味ロックバンドっぽさが希薄になります。
同じようにクリッシー・ハインド率いるプリテンダーズも割と好きなんですが、それほどのめり込んで聴いてはいません。
プリテンダーズも普通に代表作といえばほとんどの人が「Get Close」や「1st」あたりになると思いますが、わたくし的におすすめは三枚目の「Learning To Crawl」です。
なぜかあのアルバムが一番好きです。マイ・フェイヴァリットな名盤です。1曲目「ミドル・オブ・ザ・ロード」の3分20秒、野良猫の叫びで決まりです。
アルバム「シアー・ハート・アタック」のご紹介です。
演奏
フレディー・マーキュリー ヴォーカル、ピアノ、ハモンドオルガン
ブライアン・メイ ギター、バックグラウンドヴォーカル、アコースティックギター、バンジョレレ
ジョン・ディーコン ベースギター、エレクトリックギター、アコースティックギター
ロジャー・テイラー ドラムス、パーカッション
曲目
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。
1, Brighton Rock ブライトン・ロック
この攻めた展開がとてもかっこよく、ハードロックっぽさを感じます。このブライアン・メイのギターオーケストレーションに多くのギター小僧が憧れました。一部では三味線ギターとも言われていました。
全員の演奏力の高さがわかります。
2, Killer Queen キラー・クイーン
指のカウントで始まるクイーンの人気を決定づけたキラーチューンです。完璧です。
3, Tenement Funster テネメント・ファンスター
アコースティックギターのイントロで始まり、クイーン得意のドラマチックな組曲です。にもかかわらず3分足らずで終わらせてしまうところが当時のアイデアの豊富さがわかります。
ここから3曲メドレーです。
4, Frick of the Wrist フリック・オブ・ザ・リスト
ポップさと重厚さが交互に現れる、これも得意の路線です。
5, Lilly of the Valley リリー・オブ・ザ・バレー
全曲から上手くつながります。短いのですがよくできた曲です。
6, Now I’m Here ナウ・アイム・ヒア
メドレーが終わって、ライブ音源かと思っていましたが、ライブ風に録音した曲です。ノリのいいロックンロール調です。
7, In the Lap of the Gods イン・ザ・ラップ・オブ・ザ・ゴッド
ここからLPレコードではB面で組曲風に展開します。
この出だしといいもろオペラ風の構成といい、実はちょっと苦手です。
8, Stone cold Crazy ストーン・コールド・クレイジー
はい、安心して聞けるロックナンバーです。上手くロックンロールの雰囲気も入れています。
ハードロック、メタルっぽさも感じます。
9, Dear Friends ディア・フレンズ
トラディショナル風の落ち着いたナンバーです。1分ちょっとしかありませんが、もっと聴いていたくなるような曲です。
10, Misfire ミスファイア
これも短い曲で、アコースティックギターで始まるポップな曲です。ジョン・ディーコン作でちょっと中近東あたりの雰囲気も感じます。
11, Bring Back That Leroy Brown ブリング・バック・ザット・リロイ・ブラウン
何気に伝統的な手法を感じます。アメリカのシンガーソングライター、ジム・クロウチへのアンサーソングとも言われています。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム全部が遊び心満載です。
12, She Makes Me (Srormtrooper in Stilettoes) シー・メイクス・ミー
アコースティックギターとリズムが主体でこの曲はそんなにいろんな方向に展開していきません。
最後まで同じ感じで行きます。
13, In the Lap of the God revisited イン・ザ・ラップ・オブ・ザ・ゴッド・リヴィジテッド
トータルコンセプトの最後の曲です。始まりのトラック7より個人的にはいいと思います。爆発して終わります。
私の持っているCDは30年以上前に手に入れたものです。レコードは手元にはありません。もともと音がイマイチとは思っていたもののyoutube音源と比べたら、youtube音源方がの方が音が厚くて迫力がありました。
CDも世代が若いとオーディオ的にも不利ですね。
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