<音楽メディア編>
世の中は音楽の聴き方が以前と変わってきました。サブスクとか配信とかが現れて、昔ながらのCDやレコードといった物理的メディアは廃れつつあります。
テープレコーダーやMDといったどうしてもコンバートすると劣化を伴うメディアはとうに無くなりました。
唯一頑張っているのはレコードでしょうか。オリジナルがリリースされた時代を考慮して、スローオーディオとして趣味的に楽しむものとして、ある意味盛り返しつつあるようです。
音楽を楽しむということでは一つの理想形態です。頑張って欲しいものです。
私もハイレゾ音源などはアンテナを伸ばしチェックして、気になるものは買っています。
SACDはもっていません。ハード、ソフトともに値が張るし、今となってはなんか中途半端な感じがあります。(個人的な意見です)
CD、SACDなどはデジタルでも回転しながらリアルタイムでデータを読み取ります。もちろんそれは先読みパケット単位の情報でしょう。
そうなのですがプレイヤーの回転振動などの要因で、最初からまとまったデジタルファイルの再生と比べればオーディオ的に不利です。
実際10年ほど前、CDをリッピングした音をオーディオインターフェイス経由で聞いて、もうプレイヤーはいらないと思いました。
(たかだか20万くらいのプレイヤーと比較してのハナシですが)
そう考えると当然デジタルファイルのストレージもハードディスクよりSSDということになります。
残念ながら私には今のところそこまでの違いはわかっておりません。
デジタル音楽ファイルはPCM,DSD,MQAなどの形態があります。
これもどれがいいとか決め打ちできるものではありません。
聞けば音の雰囲気は間違いなく違いますので、キャラクターの違いと感じます。
優劣をつけるものではなく、違いを楽しむものだと思います。
サブスクも良い面があることは認めます。がしかしながら音楽に真摯に向き合うために(これって全く理由になっていませんけど)使っていません。
それと基本的により気持ちいい音、リアルな音を求めているので圧縮した音は避けています。(どう悪いというより気持ちの問題ですね)
定額でいろんな音を聞いて、ほんとうに自分に合っているアルバムを手に入れればいいだろうに、Roonとかも出てきたし・・・という意見は全くもってその通りです。
<レコードマニア編>
さて、ちょっと寄り道してサブスクに興味を持たない人種の話です。
それは今や絶滅危惧種となりつつあるアナログ世代のことですが、昔から染み付いた行動パターンがありますのでご紹介します。
デジタルメディアのなかった40年ほど前、彼らは初めて出会ったアーティストやアルバムについては次のように対応し行動したのです。(すみません、私のことです)
彼はあるミュージシャンのレコードを探して新宿、渋谷あたりをよく徘徊していました。ある日あるお店で初めて見る妙に気になるレコードに出会いました。
アルバムタイトルを見て、ジャケットの裏表を見て、曲のタイトル、参加ミュージシャンなどを見て、内容を想像します。
至福の時間です。特に輸入盤などは情報が少ない時代なので、想像するしかありません。なぜか本屋さんにいる時と同じようにトイレに行きたくなったりします。
さて、今日の成果物が決まりました。これは今まで知らなかった世界を体験させてくれる違いないと全くもって根拠のない自信とともに買って帰ります。
日頃から経済的に困窮している彼にとって、LPを買うなどということは大きな負担です。
しかし彼は元をとって余りある感動が待っていると信じています。
もしかしたら明日から人生が変わるかもしれません。(言い過ぎです)
家に着いたらまず食事などの雑用を済ませて体調を整え、精神統一して雑念を払うという儀式を行います。
そしてオーディオシステムをオン。
再生開始・・・。
1曲目からあれれと思いながらも真剣に聞いていく。
・・・なんか思ってたのと違う、と思いながら我慢するもののついにA面の終わりまで達する。
(無言)
そしてやっと失敗を認め、おもむろに蔑んだ目でジャケットを睨み返し、俺の金と時間を返してくれぇえええ・・・と涙にくれる。
という博打的な体験がしたいのです。
そして「ああ、まだまだ俺の音楽を選ぶ目は節穴だ。もっと精進しなければ」と明日に向かって決意を新たにするのです。
これが彼なりの真摯な音楽との向き合い方というものです。
ほんとつける薬がありません。
ごく稀にそういうアルバムでも5年後、10年後に体に馴染んでくる場合もあります。
あるとき聴き直したら体調のせいか精神状態のせいかわかりませんが、すごく良く感じるのです。
歴代の名盤と言われるものは得てしてそういう傾向があります。
人生という長いスパンで考えればスルメ盤です。すごくいいと思ってもすぐに飽きる音楽より貴重です。
話を戻して本題に入ります。
<本題>
最近の話でもないですけど、ここのところ50年代から60年代、70年代にかけてのブルーズ、ジャズ、ロックなどのアルバムの5枚組とか8枚組とかのボックスセットが見られます。
個人的な体験としてその昔、リマスタリングとかもあまり言われていなかった時代にCDボックスセットというか大全集を買って、通常のアルバム単位のCDと比べたら明らかに音が薄いと感じたことがありました。
ダイナミックレンジが狭くのっぺりとした音でした。
そういえばLPレコードの時代にもベスト盤は通常アルバムより同じ曲でも音が悪いと思ったことが度々ありましたが、それと同じ感覚です。
ということでここ数十年はボックスセットは避けてきました。
でも、ボックスセットでないと手に入らないアルバムがあります。
一人のアーティストを好きになるとどうしてもそれを聴きたくなります。
ということであるときCDボックスセットを買ってみました。ハウリン・ウルフとセロニアス ・モンクです。価格はとってもリーズナブルです。1枚のアルバムに換算すると200円とか300円くらいです。
持っている数十年前に買ったCDと当然ダブりも出てきます。で、新旧比較できました。
製造が新しい最近の安価CDについて
・音圧が高い
・音の重心が低くなっている。
・中域の飽和感がない
・これは、今風の音、CDフォーマット44.1kHz, 16ビットを上手く活かした音だ
と感じました。悪くないどころかちゃんとリマスタリングを感じます。
個人的な感覚ですがブルーノートのリマスターやビートルズのリマスターが出たくらいの時期からデジタルアーカイヴの視点が変わりました。
単純にアナログマスターテープをデジタル化して販売するのではなく、できるだけ当時の状況を加味して、最近の機材に合わせ、アップデートして聞こえるようになったと感じる今日この頃です。
確かに1990年代くらいまではLPレコードでしか聴けなかったアルバムがCD化されるというだけでもありがたい時代でした。
でも音質についてはなぜこうもキツイ、カタイ、イタイ、ツメタイ音なんだろうと思っていました。
最初からデジタル録音されたアルバムとアナログアーカイヴのアルバムは明らかに違うのです。
一因として、たとえば昔のアナログ時代の録音エンジニアの話では、テープヒスノイズを低減するために高音のレベルを上げるなどの独特のイコライジングをして録音し、再生時に逆補正する、そうすれば相対的にヒスノイズが小さくなりノイズフロアーが下がる。
というS/N改善作業をしていた人もいたそうです。
最近はそういう当時の様々な状況も踏まえての丁寧なリマスタリングが当たり前になっているのかもしれません。
気がつくと20数年前に2500円で買ったCDが、正味300円程度で買える最近製造されたCDに負ける状況になってました。
そう言えばマイルス・デイヴィス・・・ヤツのCDは再発されるたびに音が良くなっているような。
という風に時代は変わっていくものですね。
でもきっといい音楽はずっと残り続けると思います。
最後にCDボックスセットの紹介です。コストパフォーマンスを考えればちょっとでも興味があれば買って損はないと思います。
ジャズ編
ブルーズ編
ロック、ポップス編
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