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クリームは1966年に結成されたイギリスの3人組のバンドです。サイケデリック・ロックとかブルーズロックとかハードロックの初期形態とか言われています。
音楽性はジャズっぽかったりポップな面があったりもしますが、大まかにはブルーズの古典をヘヴィーアレンジしてアドリブを交えながら爆音で演奏するというイメージです。
ここらあたりからからスーパーバンドという言葉が生まれました。クリームのメンバーは全員現役でプロ活動をしているすでに人気のあるミュージシャンたちでした。
この時代になるとブリティッシュ・インヴェンションを経てロックバンドが乱立している状況ですので、音楽性や目的意識が共通しているメンバーを選りすぐってバンドを結成することも可能になっていたわけですね。
メンバーはジョン・メイオールのバンドを経由して、よりブルーズにどっぷりと浸かりたがっていたギターのエリック・クラプトン、ジャズやトラディショナルやクラシックにも造詣が深いベースのジャック・ブルース、この時代にしてブルーズから踏み込んだアフリカン・リズムなどを研究していたドラムのジンジャー・ベイカーです。
「俺らだったら今まで誰も経験したことのないスゲェ演奏ができんじゃね」と感じていました。(私感です)
ということで全員が “俺こそがリーダーで主役” と思っている、しかも単なるナルシストの思い込みではなく、本当に実力あるメンバーが集まったバンドが始動し始めました。
クリームという基本ギター、ベース、ドラムスだけのスリーピースバンドの誕生です。
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3人だけでヴォーカルもバンド演奏もするスリーピースバンドはロックでは珍しかった時代でした。
そういう意味では無駄を削ぎ落としてパワーで勝負という、何気に先見性のあるバンドです。
通常ブルーズアレンジのシンプルな曲を演奏するという姿勢では、音楽の世界が広がらず小さくまとまってしまいがちなんですが、3人とも器用なおかげでいろんな音楽の要素を取り入れてバラエティ豊かなオリジナルの音楽が作れました。
あまり話題にはなりませんが特にジャック・ブルースという頭の柔らかい存在がいなければここまでの成功はなかったような気がします。
クラプトンはその辺が当初からわかっていたようで、ジャック・ブルースと一緒に演ってみたいと思っていました。仲良しのジンジャー・ベイカーと新バンドの構想を話していた時、絶対にジャック・ブルースが必要だと言いました。
グラハム・ボンド・オーガニゼーションというバンドでジャックと一緒だったジンジャーは「あいつとだけはもう組みたくない」と言って一旦拒否しました。
でもクラプトンはジャック・ブルースの才能をかっていて、ジンジャーがジャック・ブルースをバンドに誘うことを結成条件にしたそうです。
確かにジャック・ブルースは変な人でグラハム・ボンドを解雇宣告されてもライブなどに勝手に来て演奏したりしていたそうです。あまりの身勝手さにジンジャーと殴り合いになったりもしていました。
インタビューで「バッハにはベースの構成要素の全てがある」などとも語っており、モロにジャズというアルバムも何枚かリリースしています。そういう多分天才ゆえの変人です。
なのでツアーなどが続いてストレス過剰な状態になると多分壊れたようになったりします。比較すれば礼儀正しく気を遣うタイプのジンジャーには耐えきれなかったのでしょう。クラプトンは割と世渡り上手さんなので、そういうめんどくさい状況もうまくあしらっていたのだと思います。
2005年のクリーム再結成もジャック・ブルースが原因で長続きはしませんでした。
クリームのラストアルバム「グッバイ・クリーム」にエリック・クラプトンとジョージ・ハリソン共作の「バッジ」とジャック・ブルース作「スクラップヤード・シング」、ジンジャー・ベイカー作「ホワッツ・ア・ブリングダウン」が続けて収録されています。3曲とも本当に素晴らしく大好きな曲ですが「こういう音楽志向の人たちがブルーズを演ったら、そりゃ面白くなるわ」と思わずにいられないバンドです。
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アルバム「クリームの素晴らしく世界」のご紹介です。
演奏
エリック・クラプトン ギター、ヴォーカル
ジャック・ブルース ベース、ハーモニカ、チェロ、カリオペ、リコーダー、アコースティックギター
ジンジャー・ベイカー ドラムス、パーカッション、ティンパニ、グロッケンシュピール、ヴォーカル
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フェリックス・パパラルディ ヴィオラ、ベル、オルガン、トランペット、トネット
トム・ダウド レコーディング・エンジニア(スタジオ)
エイドリアン・バーバー レコーディング・エンジニア(スタジオ)リミックス・エンジニア(ライブ)
ジョセフ・F・パルマッチョ デジタル・リマスタリング
マーティン・シャープ アート
ジム・マーシャル フォトグラフ
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曲目
参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。
1, White Room ホワイトルーム
(作 ジャック・ブルース、ピート・ブラウン)
クリームでも1、2位を争う有名曲です。特徴的なリズムとワウペダルを使ったギターが印象的です。
2, Sitting on the Top of the World トップ・オブ・ザ・ワールド
(作 ウォルター・ヴィンソン、ロニー・チャットモン、arr チェスター・バーネット)
チャーリー・パットンやハウリン・ウルフでお馴染みのブルーズの古典です。よく聞くとエリック・クラプトンのギターが結構エグい音してます。
3, Passin’ the Time 時は過ぎて
(作 ジンジャー・ベイカー、マイク・テイラー)
サイケデリックというかグロッケンシュピールが印象的な静のパート及びドスバスドラムとブリブリベースの動のパートでできています。
4, As You Said お前のいうように
(作 ジャック・ブルース、ピート・ブラウン)
ジャック・ブルースの変則チューニングアコースティックギターとチェロ、ジンジャー・ベイカーのハイハットのみでできています。後のレッド・ツェッペリンのアコースティックチューンに繋がるような感じの曲です。クラプトンは参加していないようです。
5, Pressed Rat and Warthog ネズミと猪
(作 ジンジャー・ベイカー、マイク・テイラー)
ジンジャー・ベイカーが最後まで歌わずに語りで通します。曲調は「パッシン・ザ・タイム」に共通する感じもあります。
6, Politician 政治家
(作 ジャック・ブルース、ピート・ブラウン)
ブルーズマナーの曲です。クラプトンものびのび引いています。声が左右に揺れたりするのでサイケデリック・ブルーズ・ロックです。
7, Those were the Days ゾーズ・ワー・ザ・デイズ
(作 ジンジャー・ベイカー、マイク・テイラー)
ジンジャー・ベイカーの世界観が出ているというか、変わった曲調です。ソロになるとクラプトンとジャック・ブルースが同時に突っ込んでいくライブのような演奏が聴けます。さすがクリームと思います。
8, Born Under a Bad Sign 悪い星の下に
(作 ブッカー・T・ジョーンズ、ウィリアム・ベル)
アルバート・キングで有名なブルーズスタンダードです。3人ともこの手の曲がお好きなんですねえという感じが伝わります。
9, Deserted Cities of the Heart 荒れ果てた街
(作 ジャック・ブルース、ピート・ブラウン)
これはこれでジャック・ブルースの世界観丸出しの曲調です。さすがです。
10, Crossroad クロスロード
(作 ロバート・ジョンソン)
ここからLPでは2枚目 C、D面のライブになります。エリック・クラプトンのロバート・ジョンソン愛溢れるアレンジです。
その後何十年と語り継がれ、今日でもロックギターの教科書となる演奏と言われています。
11, Spoonful スプーンフル
(作 ウィリー・ディクソン)
この曲は16分を超える大作です。前のトラックに続きエリック・クラプトンが主役です。
12, Traintime トレインタイム
(作 ジャック・ブルース)
ベーシストのジャック・ブルースの独断場です。でもベースではなくハーモニカとヴォーカルです。ブルーズによく出てくるテーマである「列車のリズム」でジンジャー・ベイカーも加勢します。
ライブならではの命を削って音楽を演っている感が出ていて鬼気迫るものを感じさせてくれます。
13, Toad 嫌なやつ
(作 ジンジャー・ベイカー)
ベース、ギターを加えた全員によるテーマが導入部となり、続いてジンジャー・ベイカーのドラムソロです。ここでもスタジオバージョンを超える16分を超える熱演です。
ハードロック時代の幕開けを感じます。
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