「続け青盤。MALソフト、AIアシストで生まれ変わった衝撃の後期ビートルズ、青盤2023年エディションだ」The Beatles 1967-1970 2023Edition : The Beatles

やっぱり待ちきれずに続けて購入しました「2023年エディション、ビートルズ青盤」です。

と、始めても「いきなり何いってんの」と言われるのがオチです。最初から説明させていただきます。

まずアウトラインから
20世紀に音楽が記録されるようになってから、広く大衆に浸透していきました。
その中には特異な才能により時間を超えて、ジャンルを超えていろんな方面に影響を与える人も出現します。その代表格がビートルズです。(そこからかい!)

彼らの活動期間、1962年から1970年までに発表した楽曲は213曲に及びます。(バージョン違いとか、正規音源とか、ライブ音源のカウントとかで変わってきますので、諸説ありの数字です)

解散時でもまだ全員30歳そこそこですが、これほど見た目も音楽的にも変化して、常に第一線で音楽会をリードしていったビートルズは、その時点で他の人には到達不可能な業績を積み上げました。
まさに音楽で夢を、奇跡を成し遂げたバンドだったのです。
後続のミュージシャンにロックには、音楽にはまだ無限の可能性があることを身をもって示しました。

そういうビートルズのオリジナリティ、革新性などを考えるとほとんど全ての曲が重要曲と言えるのですが、当然のごとく他のポップスターなどと同じようにベストアルバムというものも企画されました。

ベストアルバムは現役活動中に「オールディーズ(バット・グッディーズ)」という初期の曲を集めたベスト盤がありましたが、後期のものはありませんでした。
解散後1970年代には「赤盤」「青盤」を筆頭にロックンロールを集めたものやバラードを集めたものがリリースされ、2000年に入ってはシングルを網羅したものなどの企画モノが発売されました。

「赤盤」「青盤」のほかのベスト盤と違うところは音楽面や時代性も考慮して選曲されたところです。前期、後期に分けて二枚組LPのセットで発売されました。

ジャケットも凝っていて同じ場所、同じ構図でデビュー時と解散時のショットが使われており、トータル性も感じられます。
そこまで計算ずくでやってたのかと思われそうですが、「赤盤」はデビューアルバム「プリーズ.プリーズ・ミー」と同じものであり、「青盤」は幻の最終アルバムと言われる「ゲット・バック」用にこれは洒落で用意していたものです。

「赤盤」のリンゴ・スターはまだ街のやんちゃらしく、リーゼントヘアーで」決めています。ビートルズのメンバーは全員、労働者階級出身の若者でした。まさにロックンロール成り上がり神話の元祖でもあります。この点からも夢を見させてくれます。

この前「赤盤2023エディション」を買った時は今後のジャイルズ・マーティンのビートルズアルバム・リマスターの方向性と質を見極めるのに必要だと感じたからです。(偉そうに勝手に上から目線です。これが無責任な一般人の強みです)

タイトルに “待ちきれずに” と書いたのは「青盤」はここ最近の後期のリマスターは持っているし、足りないのは『マジカル・ミステリー・ツアー』だけだし、まあいいか急ぐ必要なし」、と思っていたのです。でも「ヘイ・ジュード」が・・・「アイ・アム・ザ・ウォルラス」が・・・とか思い始めて、どうせいつかは買うことになるぞ、と思って購入してしまいました。

やっぱり聞き込んできた身としては「青盤」なりの曲の進行の妙というか単なるベスト盤以上の奥深さがあるんです。

内容はジョージ・ハリソンが選曲したものということが1980年代あたりから言われていた記憶がありますが、現在はどこを調べてもそういう言及は見当たりません。多分私の勘違いだったのでしょう。

1970年中頃に私が洋楽に目覚めて、ビートルズが好きになり、最初に聞いたのがこの「赤盤」「青盤」でした。これはこの上なく幸せな巡り合わせだったと思います。

かなり聴き込んでからビートルズの後期アルバムに向かい、後追いで初期のアルバムも聴きました。私にとって「青盤」の深さはそのまま音楽の深さに繋がり、ここからボブ・ディランやローリング・ストーンズに広がり、ロバート・ジョンソンやマイルス・ディヴィスにも発展しました。

今は流石に時代が違いますので、正直ビートルズが今のティーンエイジャーにどう思われるかは分かりません。もしかしたら今の若い人は音楽史のお勉強程度の意味で聞いてみるだけかもしれません。

でも私の経験では1950年代のジャズだろうが1930年代のブルーズだろうが素晴らしいものは素晴らしいと感じました。
当然、当時の技術や世相などの情報も含めて脳内変換しているのです。
例えばアガサ・クリスティの推理小説を読みながら「それ、今ならネットですぐ確認できるよ」なんて無粋なことは考えないのと一緒です。
人が動いて表現したものは、スポーツや演劇などと同じく人は普遍的に感動する要素を見つけます。

よって今の人たちが1960年代のビートルズを聴いても、時代を超えて残る音楽にはぞれなりの変わらない良さと今に繋がる原点があると感じるはずです。

ということで良いのですよ、コレ。おすすめです。

演奏

ジョン・レノン  ヴォーカル、ギター他 
ジョージ・ハリソン  ギター、ヴォーカル他 
ポール・マッカートニー ベース他 
リンゴ・スター  ドラムス他 

プロデユーサー ジョージ・マーチン(1966年オリジナル)ジャイルズ・マーチン(2023年版)

2023年版エンジニア サム・オケル、ジェフ・エメリック

「ザ・ビートルズ 1967年~1970年」 2023エディション(2CDステレオ)のご紹介です。

Amazon.co.jp

*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。

*=新たに追加されたトラックとなります。

  1. Strawberry Fields Forever ストロベリー・フィールズ・フォーエバー (2015ステレオ・ミックス)

    最初に聞いた時は変な歌だと思いました。でもそこがジョン・レノンで味があります。エフェクターがかったジョンの声がものすごくジョン・レノンらしいと感じるのは不思議です。
    ビートルズ上級者になるほど評価が高くなる曲です。

  2. Penny Lane ペニー・レイン (2017ミックス)

    ポールの作った名曲です。子供の頃の街の思い出を歌ってみようぜ、といってジョンが「ストロベリー・フィールズ」を、ポールが「ペニー・レーン」を持ってきたらジョージは「これは同じ土俵では勝負にならない」と思ったのではないでしょうか。(勝手な推測です)
    いつ聞いても新鮮な気分になれます。

  3. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (2017ミックス)

    ポールのアイデアで出来上がったアルバムのオープニング曲です。ジミ・ヘンドリクスはリリースされた2日後にこの曲をライブでカバーしたそうです。

  4. With a Little Help from My Friends ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ (2017ミックス)

    思い出すのは1969年のウッドストック・フェスで、ジョー・コッカーがコッテコテのアレンジで演っていました。10代の頃初めて映画館で見た時は酔っ払いのおっさんにしか見えませんでした。

  5. Lucy in the Sky with Diamonds ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ (2017ミックス) 

    ジョンの代表曲の一つのように言われますが、実は私の中ではジョン・レノンの曲としてそんなに高い方ではありません。サビが単調に感じられてしまうのです。同じようにワンフレーズを繰り返す「アクロス・ザ・ユニバース」では全く趣が違います。今でも多分LSDに引っ掛けたジョークを言ってみたいだけだったのではと思ってます。(個人の感想です)

  6. Within You Without You ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー (2017ミックス)*

    アジアの人だったら絶対にこの曲はベストアルバムには入れません。だって、ビートルズにそこは求めていないのです。こういうのを聴きたければラヴィ・シャンカールなどもっとネイティヴなミュージシャンを聴きますもん。
    「サージャント・ペパーズ」にあったからこそ意味があるんですけど、ベストには要らないと思う次第なのです。

  7. A Day in the Life ア・デイ・イン・ザ・ライフ  (2017ミックス)

    ジョンらしいメロディと途中でのポールの、ポールらしくない尖ったヴァースがとっても素敵なナンバーです。

  8. All You Need Is Love 愛こそはすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ)(2015ステレオ・ミックス)

    ベスト盤にはよく選曲され、タイトルからしてビートルズの中では上位にランクされることもありますが、良いと思うのはイントロだけで、個人的にはどうもダメなんです。この曲もなんかジョンの悪いところが出ているような曲調なんだよなあ、と思うのはこれまた私だけなんでしょうか。
    だったら「セクシー・セディ」とか「クライ・ベイビー・クライ」を入れてほしいのです。(勝手にわがまま言ってます)

  9. I Am the Walrus アイ・アム・ザ・ウォルラス (2023ミックス)

    聞き込むほどに好きになる曲です。さすが天才ジョン・レノン。
    今回のリマスターは音像がくっきりして裏メロも素晴らしくはっきりくっきり聞こえて、より混沌とした世界が味わえます。
    面白い時代になったもんだとつくづく思います。

  10. Hello, Goodbye ハロー・グッドバイ (2015ステレオ・ミックス)

    前の曲に続いてこの曲が出てくるところがなぜか好きです。ポールらしくていい曲だと思いますが、この時期のジョンとジョージはあまり興味がない曲だと思います。(個人の感想です)

  11. The Fool on the Hill フール・オン・ザ・ヒル (2023ミックス)

    今回のリミックスで感じたことは、ポールがわざと芯の無い声で歌っています。曲に合わせてであってもちろんマイナスということではありません。さすがの表現力です。
    ジョンの「ひとりぼっちのあいつ」とかザ・フーの「ハッピー・ジャック」につながるある意味イギリスらしい曲です。
    普遍のテーマを歌った名曲です。

  12. Magical Mystery Tour マジカル・ミステリー・ツアー (2023ミックス)

    地響きを立てて流れるドラムロールがなくなっています。そこは残念。
    ポール・マッカートニー主導の「サージャント・ペパーズ」に続いて何かに取り憑かれたように精力的にこの企画を進めました。
    時間が足りなかったのか、途中で飽きたのかわかりませんが当初イギリスではミニLPとしてリリースされました。
    バンドとしてのポテンシャルはとっても高いと思います。
    この雰囲気はウイングスにつながります。

  13. Lady Madonna レディ・マドンナ (2015ステレオ・ミックス)

    ポールの声質の多さというか歌唱テクニックには驚きます。曲というよりバックの演奏とかコーラスとかがすごく好きなんです。
    楽器の粒立ちが極まったので感じ方も違います。

  14. Hey Jude ヘイ・ジュード (2015ステレオ・ミックス)

    定期的に聴きたくなる世紀の大名曲です。今はこの曲が聴きたくて「青盤」を買ったようなものです。ジャイルズ・マーティン・リマスター版「パスト・マスターズ」までは待てません。
    何気にリンゴのドラムの貢献度も高いと思います。

  15. Revolution レボリューション (2023ミックス)

    エグい歪みのギターがいい感じでしたが、より汚くより迫力を増してきました。パンクです。

  16. Back in the U.S.S.R. バック・イン・ザ・U.S.S.R. (2018ミックス)

    ホワイト・アルバムのオープニング曲で知名度は高いのですが、ポールならここで「マーサ・マイ・ディア」か「アイ・ウィル」あたりを持ってくると面白いんですけど。
    いやホントは「バースデイ」か「ヘルター・スケルター」を、赤盤には「アイム・ダウン」を入れて欲しかった。ポールの凄さはそこにあるんですけど。

  17. Dear Prudence ディア・プルーデンス (2018ミックス)*

    ジョンにしか作れないすばらしいナンバーです。

  18. While My Guitar Gently Weeps ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス (2018ミックス)

    何はともあれこの曲がないビートルズのベスト盤は信用できません。

  19. Ob-La-Di, Ob-La-Da オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ (2018ミックス)

    個人的にはこれもありだと思います。

  20. Glass Onion グラス・オニオン (2018ミックス)*

    そんなに「ホワイト・アルバム」の最初の方にばかり目を向けないでも。と思います。

  21. Blackbird ブラックバード (2018ミックス)*

    好きな曲ですが、シンプルでマニアックなナンバーなので、正直ベスト盤には不向きかと思います。

  22. Hey Bulldog ヘイ・ブルドッグ (2023ミックス)*

    今回一番興味と期待を持っていたナンバーです。ブリティッシュ.ビート感が好きです。

  23.   Get Back ゲット・バック (2015ステレオ・ミックス)

    ローリング・ストーンズにもCCRにもザ・フーにもレッド・ツェッペリンにもこのノリはありません。突き詰めるとカントリー風味のエッセンスです。

  24. Don’t Let Me Down ドント・レット・ミー・ダウン (2021ミックス)

    ジョン・レノン版ソウル・ミュージックです。

  25. The Ballad Of John And Yoko ジョンとヨーコのバラード (2015ステレオ・ミックス)

    曲調はバラードではありません。軽いノリのロックンロールっです。珍しくこの曲はジョンとポールだけで演奏して仕上げたそうです。ベースが全面に出てきてイメージが変わりました。

  26. Old Brown Shoe オールド・ブラウン・シュー (2023ミックス)

    ジョージの曲です。前に出てこない細い歌い方とサウンドの疾走感が強調され、今まで思っていたよりかっこよく聞こえます。なんといってもベースのドライヴがすごい。

  27. Here Comes The Sun ヒア・カムズ・ザ・サン (2019ミックス)

    さらに名曲、ジョージ作です。

  28. Come Together カム・トゥゲザー (2019ミックス)

    クールなビートルズの代表曲です。

  29. Something サムシング (2019ミックス)

    2000年以降のビートルズのカバー率としてはダントツ1位ではないかと思われるジョージ・ハリソンのスタンダードです。

  30. Octopus’s Garden オクトパス・ガーデン (2019ミックス)

    リンゴが歌うと他のメンバーはいつも以上にアレンジに凝って頑張って演奏します。ビートルズの中においてただ一人、同じスタンスを崩さなかったリンゴ・スターの人柄が偲ばれます。

  31. Oh! Darling オー!ダーリン (2019ミックス)*

    ポール・マッカートニー版ソウル・ミュージックです。

  32. I Want You (She’s So Heavy) アイ・ウォント・ユー (2019ミックス)*

    アルバム「アビー・ロード」にあるからこそ光るナンバーなのです。

  33. Let It Be レット・イット・ビー (2021ミックス)

    シングルバージョンです。やっぱりギターソロはアルバムバージョンに軍配が上がります。音質的にはこちらも各楽器の音が立っていて素晴らしいものです。

  34. Across The Universe アクロス・ザ・ユニバース  (2021ミックス)

    ジョンの世界観が垣間見える名曲です。サビは「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」と一緒で同じ節を繰り返すだけですが、こちらは重ねるほどに世界が広がります。

  35. I Me Mine アイ・ミー・マイン  (2021ミックス)*

    いきなり情感溢れる歌い方で悪い曲ではありませんが、なんとなく未完成と感じさせるナンバーなんです。

  36. The Long And Winding Road ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード (2021ミックス)

    私は希少な個人的には “フィル・スペクターバージョンのオーケストラがあってもいい派“ です。

  37. Now And Then ナウ・アンド・ゼン*

    あっ、サイボーグ感が。

     

リマスターは楽しめたし、音質もグッと上がりました。でも「青盤」については中学生の時から聞き込んできた曲の流れとかもあるので、正直追加して良かったと思える曲は「ヘイ・ブルドッグ」だけです。

私のビートルズには今のところ「フリー・アズ・ア・バード」も「ナウ・アンド・ゼン」も要りません。

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