「神の声を持つ男、その1、ゴスペルからソウルへの道を築いた比類なき歌声」The Man And His Music : Sam Cooke / ザ・マン・アンド・ヒズ・ミュージック : サム・クック

 サム・クックは ”神の声を持つ男” でした。
「キング・オブ・ソウル」と呼ばれています。ソウルミュージックのファンなら絶対に異論のでないであろうキャッチフレーズです。
未だ世界中に彼を目標とするフォロワーが後を立ちません。

サム・クックの声は中域が厚くて良く通ります。そして声を張るとピークで歪みます。
そこがなんとも言えず良いのです。
さほど押し付けがましくない歌い方なので、表面はさっぱりしていますが奥行き無限大と感じます。

まさに神の声を持つ男です。

彼の出現により、ブラック・アメリカンの歌唱力は広く認められました。
しかもアフリカン・アメリカンの中でも誰もが認めるイケメンです。ポップスでヒットしアイドル的な人気もありました。
もし長生きして歳をとって太って禿げたりしていたらイメージは違ってくるのでしょうが、33歳というピークに若くして無くなった故にジェームス ・ディーンなどと同じく永遠のアイドルです。

ゴスペルグループでプロとなり、ポップスに転向しました。
敬虔なクリスチャンからは裏切り者、堕落した、と言われたそうですが、考えようによってはブラック・アメリカンの少年少女を嫌々ながらではなく、成功する夢を持って教会に向かわせたことも影響は大きいのではないでしょうか。と今となっては思ってしまいます。

これにより幼少期よりゴスペルで声を鍛えて大人になり、本格派の歌手になるという王道というか必殺の図式が出来上がりました。

来歴

1931年1月22日、ミシシッピ州クラークスデイルにチャールズ・クック牧師と妻のアニー・メイの8人兄弟の5番目の子供として生まれます。
6歳の時にシカゴに引っ越して教会で歌うようになりました。
1950年にThe Soul Stirrers (ザ・ソウル・スターラーズ)という1926年から活動しているゴスペルグループに加わります。
以前からRH.ハリスをリードシンガーとする伝統も人気も実力もあるグループでした。

アルバム「Sam Cooke and The Soul Stirrers」が有名です。

ゴスペル・カルテットと言われるグループは有名なところでソウル・スターラーズやファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ、ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピなどが挙げられます。
RHハリス率いるソウル・スティーラーズは “ジュビリー系” と言いますか、ポップでコーラスが洗練されています。

クラレンス・ファウンテンのアラバマとかアーチー・ブラウンリーのミシシッピ は “ハード・ゴスペル” と呼ばれ、「よっしゃおまえらぁ、力技でトランス状態まで持っていくぜェー」というゴスペルのパワー全開という雰囲気です。

どちらも一度は体験していただきたいものです。

*ゴスペルグループは歴史が長いので、ハリスもファウンテンもブラウンリーも代表的な各グループのリードシンガーです。

1957年にになるとサムは「Keen Records – キーン・レコード」と契約し「You Send Me」などをヒットさせます。
1960年には「RCAビクター」と契約して「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」や「アナザー・サタデー・ナイト」などをヒットさせ、1961年には自身のレーベル「SAR Records : サー・レコード」を立ち上げました。

サム・クックは今までの歌い手さんにはない視点で音楽業界を見ていました。

黒人の置かれている社会的立場を鑑みて、黒人の地位向上にはまず経済的に潤うことが必要と考えていました。

なのでビジネス面の重要性を感じていたのだと思います。

1964年に大大名曲「ア・チェンジ・イズ・ゴンナ・カム」を含む「エイント・ザット・グッド・ニュース」をリリースして順調な音楽活動と公民権運動などの活動を送っていましたが、1964年12月11日にモーテルで女性に銃で撃たれて亡くなりました。

銃を発射した女性は正当防衛で無罪となりました。

この事件についてはサムの体の殴打傷の状態などいろいろな疑惑が発生しており、公民権運動の関わりとか含めて今でも単なる銃撃事件とするには納得のできない人が世界中にいるようです。

「フランク・シナトラやビートルズ、リッキー・ネルソンだったらFBIがちゃんと捜査していただろう」とボクシングの世界チャンピオン、モハメド・アリも語っています。

ご紹介するのはゴスペル時代から最後のアルバムまでの重要な曲を集めたベストものです。

サムはビジネスマンでもあったので、経営優先のためなら仕方ないと本人の音楽志向を抑えて、とりあえず売れそうなアマアマなラヴソングなども歌っています。

でもこのアルバムは割とハードボイルドな選曲がされており、ソウルの真髄が堪能できます。おすすめです。

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曲目
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。

1,   Touch the Hem of His Garment  タッチ・ザ・ヘム・オブ・ヒズ・ガーメント

ソウル・スターラーズ時代のサム・クックです。ゴスペルを聴くならこの曲からだと入りやすいと思います。というくらい名曲です。


2,    That’s Heaven to Me  ザッツ・ヘヴン・トゥ・ミー

これも素晴らしくじっくりと聴かせる曲です。1と2トラックを聞くとソウル・スターラーズを、ゴスペルを知りたくなります。


3,    I’ll Come Running Back to You  アイル・カム・ランニング・バック・トゥ・ユー

ソロになってからの曲です。バックがシンプルなので声の良さが伝わります。
<演奏>
エドガー・ブランチャード  ギター
フランク・フィールズ  ベース
アール・パーマー  ドラムス
ウォーレン・マイルズ  ピアノ
リー・アレン  テナー・サックス
レッド・タイラー  バリトンサックス


4,    You Send Me  ユー・センド・ミー

甘いラヴソングです。でもソウルフルでベタベタしていないのでいいです。
<演奏>
クリフトン・ホワイト、ルネ・ホール  ギター
テッド・ブリンソン  ベース
アール・パーマー  ドラムス
リー・ゴッチ、ザ・パイド・パイパーズ  コーラス
(エンジニア ボブ・キダー、プロデューサー ロバート・ブラックウェル)


5,    Win Your Love (For Me)  ウイン・ユア・ラヴ・フォー・ミー

歌詞はただのラヴソングですが、声で聴かせます。バックはとってもシンプルです。


6,    Just for You  ジャスト・フォー・ユー 

ただあなたのためだけに、と歌っているだけですが声の抜けがいいので聴かせます。


7,    Chain Gang  チェイン・ギャング

タイトルは日本では馴染みがありませんが、鎖に繋がれて強制労働をさせられている囚人のことです。掛け声もあって若干楽しいように感じますが、「辛すぎるにも程がある、一体なんだよこの仕事は」という内容です。
こだわりがあったらしく、最初のレコーディングから3ヶ月後にヴォーカルを録り直ししています。サムにとって2番めに大きなヒットだそうです。



8,    When a Boy Falls in Love  フェン・ア・ボーイ・ファルズ・イン・ラヴ

ノスタルジックな雰囲気に浸れるメロディの美しい曲です。


9,    Only Sixteen  オンリー・シックスティーン

これも名曲です。
<演奏>
クリフトン・ホワイト、ルネ・ホール  ギター
アドルファス・アスブルック  ベース
チャールズ・ブラックウェル  ドラムス
というバンド編成です。シュープリームスもカバーしています。


10,   Wonderful World  ワンダフル・ワールド

ルイ・アームストロングで有名な曲とは違います。普通に聞けば勉強嫌いな子の片思いのラヴソングですが、この曲の歌詞は人種差別を表現しているという解釈もあります。
オーティス・レディング、アート・ガーファンクルなどがカバーしています。
<演奏>
クリフ・ホワイト  ギター
アドルファス・アルスブルック  ベース
ロニー・セリコ  ドラムス 


11,   Cupid  キューピット

キレの良いエイトビートに乗って歌います。ストリングスも入っています。
<演奏>
クリフトン・ホワイト、レネ・ホール  ギター
クリフォード・ヒルズ  ベース
アール・パーマー  ドラムス
ジョセフ・ギボンズ  ギター、バンジョー


12,   Nothing Can Change This Love      ナッシング・キャン・チェンジ・ディス・ラヴ

ドゥワップ調の曲です。ストリングスも入っています。
<演奏>
ルネ・ホール  ギター
アール・パーマー  ドラムス
エドワード・ビール  ピアノ

*チェロ
ジョセフ・コッピン、フレデリック・セイコラ
*ヴィオラ
アラン・ハーシュマン、サミュエル・ボゴシアン
*ヴァイオリン
イスラエル・ベイカー、ロベール・パレネ、ジョン・デヴォークト、ハロルド・ディクテロウ、エリオット・フィッシャー、ウィリアム・クラッシュ、レナード・マラルスキー、ガレス・ナッティコム、イザドール・ロマン、ラルフ・シェーファー、ダレル・ターウィリガー


13,   Roma (Wasn’t Build in a Day)  ローマは1日にしてならず

ラストアルバム「」に収録されている有名曲です。サム・クック作ではなく初レコーディングは1959年、ジョニー・ラッセルでした。


14,   Love Will Find a Way  ラヴ・ウィル・ファインド・ウェイ

歌詞の内容的にはまんまゴスペルです。名曲だと思います。


15,   Everybody Loves to Cha Cha Cha  エヴリバディ・ラヴズ・トゥ・チャチャ

チャチャチャはキューバのダンスです。クリスマスパーティでサム・クックの娘が踊り出し、他の子供がそう叫んだことからインスピレーションを得て作ったそうです。
<演奏>
ルネ・ホール、クリフトン・ホワイト  ギター
アドルファス・アスブルック  ベース
チャールズ・ブラックウェル  ドラムス
ジャック・コスタンザ  ボンゴ
マイク・バチェコ  コンガ
ダーリン・ラヴ・アンド・ザ・ブロッサムズ  コーラス


16,   Another Saturday Night  アナザー・サタディ・ナイト  

ノリの良い曲です。キャット・スティーブンスもカバーでも有名です。
<演奏>
クリフトン・ホワイト、ルネ・ホール  ギター
クリフォード・ヒルズ  ベース
ハル・ブレイン  ドラムス
レイ・ジョンソン  ピアノ
ジョン・アンダーソン  トランペット
ジョン・ユーイング  トロンボーン
ジュエル・グラント  サックス


17,   Meet Me at Mary’s Place  ミート・ミー・アット・マリーズ・プレイス

ちょっとレイドバックしたサウンドです。曲はソウルフルで良い感じになってます。


18,   Having a Party  ハヴィング・ア・パーティ

この曲は生涯、サム・クックのコンサートでのシメの曲になりました。DJ 音楽を止めないで、この瞬間を続けていこうというメッセージとも思えます。
珍しくギター、ベースがダブルで録られています。
<演奏>
クリフトン・ホワイト、トミー・テデスコ、ルネ・ホール  ギター
アドルファス・アスブルック、レイ・ポールマン  ベース
フランク・キャップ  ドラムス、パーカッション
アーニー・フリーマン  ピアノ
ウィリアム・グリーン  サックス

*チェロ
セシル・フィゲルスキー、アルマン・カプロフ

*ヴィオラ
ウィルバート・ナッティコム、アーヴィン・ウェンバー

*ヴァイオリン
マイロン・サンドラー、ジョセフ・サクソン、ラルフ・シェーファー、マーシャル・ソッソン、エリオット・フィッシャー、マーヴィン・リモニック


19,   Good Times  グッド・タイムズ

前曲とつながっているような雰囲気です。生前、最後のヒットシングルとなりました。
<演奏>
ジョン・ビサーノ、クリフトン・ホワイト  ギター
エドワード・ホール  ドラムス、パーカッション
ジョン・ユーイング  トロンボーン
ジョニー・テイラー  コーラス


20,   Twistin’ the Night Away     トゥイスティング・ザ・ナイト・ウェイ

本当にいい曲にいい声です。同タイトルのアルバムジャケットも最高でした。
マーヴェレッツ、クラレンス・クレモンズ、ロッド・スチュアートもカバーしています。
<演奏>
ルネ・ホワイト、クリフトン・ホワイト、トミー・テデスコ  ギター
レッド・カレンダー  ベース
アール・パーマー  ドラムス
エディ・ビール  ピアノ
スチュアート・ウィリアムソン  トランペット
ジョン・ユーイング  トロンボーン
ジュエル・グラント  ヴァリトンサックス


21,   Shake       シェイク

ビートが効いたリズムでコンサートで映える曲です。死後に「A Change is Gonna Come」とカップリングでシングルリリースされヒットしました。オーティス ・レディングやアレサ・フランクリン、スモール・フェイセズもカバーしています。


22,   Somebody Have Mercy  サムバディ・ハヴ・マーシー

1962年、アルバム「Twisting The Night Away」リリース時にシングルカットされました。


23,   Sad Mood  サッド・ムード

1960年にシングルリリースされました。
<演奏>
クリフトン・ホワイト  ギター
ミルトン・ヒントン  ベース
デヴィッド・フランシス  ドラムス
アーニー・ヘイズ  ピアノ

*ヴァイオリン
エヴェレット・バークスデール、ヒンダー・バーネット、アルフレッド・ブラウン、マックス・カーン、フレッド・フラドキン、アーチー・レヴィン、シャルル・リボーブ、ハリー・ルックフスキー、ベン・ミラー


24,   (Ain’t That) Good News  エイント・ザッツ・グッド・ニューズ

伝統的なゴスペルソングをアレンジしたものです。オーティス ・ラッシュ、キング・カーティス 、シュープリームス等がカバーしています。
<演奏>
ジョセフ・ギボンズ  ギター、バンジョー
ルネ・ホール、ハワード・ロバーツ、ジョン・ピサーノ、クリフトン・ホワイト  ギター
エディ・ティルマン  ベース
エドワード・ホール  ドラムス 、パーカッション
エミール・ラドキア  マリンバ、ティンパニ、パーカッション
ジョン・ユーイング  トロンボーン

*サックス
ジュエル・グラント、ウィリアム・グリーン、エドガー・レドモント


25,   Bring It On Home to Me  ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー

1962年5月に「Having A Party」のB面としてシングルリリースされました。アニマルズ、オーティス ・レディング、ジョン・レノン、ロッド・スチュアートがカバーしました。
<演奏>
クリフトン・ホワイト、ルネ・ホール、トミー・テデスコ  ギター
アドルファス・アスブルック、レイ・ポールマン  ベース
フランク・キャップ  ドラムス、パーカッション
アーニー・フリーマン  ピアノ
ウィリアム・グリーン  サックス

*チェロ
セシル・フィゲルスキー、アルマン・カプロフ

*ヴィオラ
ウィルバート・ナッティコム、アーヴィング・ウェインバー

*ヴァイオリン
マイロン・サンドラー、ジョセフ・サクソン、ラルフ・シェーファー、マーシャル・ソッソン、エリオット・フィッシャー、マーヴィン・リモニック


26,   Sooth Me  スース・ミー

アルバム「Twistin’ the Night Away」に収録されているゆったりめのダンスチューンです。


27,   That’s Where It’s At  ザッツ・フェア・イッツ・アット

1963年にレコーディングされ1964年にリリースされました。
<演奏>
ルネ・ホール、ボビー・ウォマック  ギター
ハーパー・コスビー  ベース
ジューン・ガードナー  ドラムス
ジョン・アンダーソン  トランペット
ジュエル・グラント  サックス
ジョン・ユーイング  トロンボーン
ダレル・ターウィリガー  ヴァイオリン


28, A Change Is Gonna Come  ア・チェンジ・イズ・ゴンナ・カム

サム・クックを象徴する名曲です。
<演奏>
ルネ・ホール、ノーマン・バートルド、アーノルド・ベルニック、クリフトン・ホワイト  ギター
チャック・バディ  ベース
アール・パーマー  ドラムス
ハロルド・バティスト  ピアノ
ウィリアム・ヒンショー  フレンチホルン
エミール・ラドキア  マリンバ、ティンパニ
ウィリアム・クラッシュ  トランペット
エメット・サージェント  チェロ

*トロンボーン
ルイス・ブラックバーン、ジョン・ユーイング、デヴィッド・ウエルズ

*ヴィオラ
ハリー・ハイアムズ、アレクサンダー・ネイマン

*ヴァイオリン
イスラエル・ベイカー、アーヴィング・リプシュルツ、レナード・マラルスキー、ジャック・ペッパー、ラルフ・シェーファー、シドニー・シャープ、ダレル・ターウィリガー、ティボール・ゼリグ

*コーラス
SRクレイン、ポール・フォスター、ジミー・アウトラー、リチャード・ギブス、JJファーリー 

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