「神の声を持つ男、その2 世界から“ジーニアス(=天才)”と言われたレイ・チャールズの初期シングル集です」The Singles Collection 1949-62 : Ray Charles / ザ・シングルズ・コレクション : レイ・チャールズ

 ジーニアス : 天才と言われる人は数多くいます。

ブラック・ミュージックの世界で誰もが認める天才といえばこの人、レイ・チャールズです。
神の声を持つ男、その1 サム・クック、その3オーティス・レディングと言ってっきましたが遅ればせながらもその2はジーニアス・ソウル・ミュージック、レイ・チャールズに決まりです。

1940年代から亡くなる2000年代初めまで長きにわたり音楽活動を続けました。

というか急激な時代の変化にも負けない強い、本物の音楽で常に第1線で続けられただけでも驚異的です。

いろんな方面からもリスペクトされていました。

レイ・チャールズはピアノやキーボードを演奏しながら歌うスタイルです。

盲目で幼少期に緑内障で失明したと言われています。

歌い方はブルージーとは言えますが、そうそう綺麗な歌い方とは言えません。

なんというかゴツゴツした歌いまたです。リズム感が独特でバックビートで演奏しながらこれ以上引っ張り切れないくらい遅れて声を出したり、あえて声を出さずに焦らしたりして、その加減がまさに天才的です。
声の音域が広くないように感じますが、あえてそういう風にして、聞き手にもどかしさを感じさせ、気持ちを掻きむしるのも天性のテクニックかもしれない。とまで思ってしまいます。

音楽史的にはゴスペルとR&Bを融合してソウル・ミュージックを編み出したというのが定説です。
その最初の曲が「What’d I Say」です。ゴスペル形式のコール・アンド・レスポンスをしながら、世俗的な歌を歌います。
当然これには批判もありましたが、ブラックミュージックのアグレッシブさと独特のノリで世界中を熱狂させました。

個人的な話になりますとまず最初に動くレイ・チャールズを見たのは映画「ブルース・ブラザーズ」でした。

この映画はジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリン、キャブ・キャロウェイ、ブッカーT & MGズなど錚々たるメンバーが集結した映画です。

これがあのレイ・チャールズかと感心しながら映画を見て、ちゃんと聴いてみたいと思ってABCレーベルのベスト盤を買って驚きました。

最初に聴いた感じは普通のヴォーカリストの歌い方とはかなり違っていました。例えば「好きにならずにいられない」ではメインヴォーカリストにも関わらずバック・コーラス・グループのレイレッツに出だしの “I can’t stop loving you・・” とメロディを歌わせて “I’ve made up my mind ” と始めたり、「旅立てジャック」では “Hit the road Jack, Don’t you you come back no more, no more, no more, no more” とサビを歌わせて、 “What you Say”  と合いの手を入れて歌い始めたり、かなりフリーキーです。これがたまらなくかっこいいいのです。

そして「Georgia on My Mind」の2分45秒 “ウォウォウォウォーウォ” というスキャットというかアドリブで涙腺は崩壊しました。

それ以降、天上天下唯彼独尊、とても敵わない人になっています。

この世でこの人の代わりはいない、同じ味わいは出せないように思えました。

本名はレイ・チャールズ・ロビンソン・シニアといい1930年9月30日にジョージア州アルバニーで生まれました。

出生の経緯は複雑で手短に言えばある夫婦の元に養子に入ったレイの母親はその義理の父親の子供を妊娠してしまい、それがレイ・チャールズとなります。

レイ・チャールズ出生後に母親の故郷、フロリダ州グリーンヴィルに戻ります。
3歳くらいからすでにピアノで演奏するブギウギに興味を持ちました。

レッド・ウイング・カフェというところで母親とほぼ住み込み状態で暮らしながらオーナーのワイリー・ピットマンにピアノを教えてもらいます。
レイは4歳か5歳くらいから視力をなくしていきましたが、盲学校に通いながらクラシック音楽などにも興味を持って熱心に勉強します。
14歳の時に母親をなくしてしまい、母親の友達に引き取られれてフロリダ州ジャクソンビルに映ります。

ピアノ演奏や編曲など音楽的な才能はこの頃から評判でしたが音楽で生計を立てるのは難しかったようです。

しかし徐々に音楽活動は身を結び、1952年にアトランティック・レコードと契約をしました。

1953年の「Mess Around」が最初のヒットとなり1954年に「I’ve gotta Waman」がヒットチャートの2位まで上昇して軌道に乗ります。

その後は半世紀近くにわたって音楽活動を続け、2004年6月10日に肝不全による合併症で亡くなりました。73歳でした。

レイ・チャールズの功績はブルーズ、ゴスペル、R&Bの融合に始まり、カントリーやジャズなどいろんなジャンルにクロスオーバーして音楽界に多大なる功績をしました。

ジャンルを超えていろんなミュージシャンから尊敬される存在となっています。

また人種差別を理由にコンサートをドタキャンして訴えられるなど公民権運動にも熱心な側面がありました。

レイ・チャールズの残した音楽遺産は膨大です。折に触れて彼の偉大さを感じさせていただいています。

ご紹介するのは1949年から1962年までリリースされたシングルを集めたものです。初期のベスト盤といってもいいかと思いますが、125曲という破格の量となります。
レイ・チャールズの重要な時代は押さえてありますので、これを機会にリズム・アンド・ブルーズ、ソウルの泥沼にハマってみるのもいかがでしょうか。

125曲,、曲目のみのご紹介となります。CDの盤ごとにコメントを入れてみました。

このアルバムはリリース順に追っているので、一枚目はわりと、というかあまりに渋いブルーズとなっていますので、レイ・チャールズ・ミュージックの上級者になってからでないと手を出しても理解しにくいものです。

今の視点でレイ・チャールズの音楽を堪能するには、CDでしたら、3、4、5、2、1の順で楽しむことをお勧めします。

アルバム「レイ・チャールズ・シングル・コレクション」のご紹介です。

曲目

  1. Confession Blues
  2. I Love You, I Love You
  3. Blues Before Sunrose
  4. How Long Blues
  5. A Sentimental Blues
  6. You’ll Never Miss the Water
  7. Alone in This City
  8. Can Anyone Ask for More
  9. Let’s Have A Ball (Here Am u)
  10.   Rockin’ Chair Blues
  11. If I Gave You My Love
  12. The Honey Bee
  13. I’ve Had My Fun
  14. Sittin’ on Top of the World
  15. Ain’t That Fine
  16. Don’t Put All Your Dreams In One Basket
  17. See See Rider
  18. What Have I Done (Tell Me Baby)
  19. She’s on the Ball
  20. Honey Honey 
  21. Late in the Evening Blues
  22. The Ego Song
  23. I’ll Do Anything But Work
  24. Someday Blues (Blues Is My Middle Name)
  25. All to Myself
  26. I Wonder Who’s Kissing Her Now
  27. Lonely Boy
  28. I’m Glad for Your Sake

    ここまでがCD1枚目です。トラック12「ザ・ハニービー」まではレイ・チャールズの居たマキシン・トリオというグループのものになります。トラック13以降がレイ・チャールズの個性が花開く時期です。それまでと歌い方がだいぶ違います。
    ブルーズスタンダードの「Sitting On Top of the World」もいい感じです。
  29. Baby Let Me Hold Your Hand
  30. Kiss Me Baby
  31. Hey Now
  32. Baby Won’t You Please Come Home
  33. Guitar Blues
  34. Baby Let Me Hear You Call My Name
  35. Misery in My Heart
  36. The Snow is Falling
  37. Why Did You Go
  38. Back Home
  39. Walkin’ and Talkin’ to Myself
  40. I’m Wonderin’ and Wonderin’
  41. Roll with Me Baby
  42. The Midnight Hour
  43. The Sun’s Gonna Shine Again
  44. Junpin’ in the Morning
  45. Mess Around
  46. Funny (But I Still Love You)
  47. Feelin’ Sad
  48. Heartbreaker
  49. It Should I’ve Been Me
  50. Sinner’s Prayer
  51. Don’t You Know
  52. Losing Hand
  53. I’ve Got a Woman

    ここまでがCD2枚目です。R&B色が大きくなってきます。「Kiss Me Baby」最後の「I`ve Got a Woman」あたりは有名でレイ特有のノリを感じます。
    「Hey Now」はニューオリンズにも同じ曲名がありますがこれは「ハートブレイク・ホテル」調です。「Guitar Blues」というエグい音色のインストも面白い感じです。
  54. Come Back
  55. This Little Girl of Mine
  56. A Fool for You
  57. Blackjack
  58. Greenbacks
  59. Drown in My Own Tears
  60. Mary Ann
  61. Hallelujah, I Love Her So
  62. What Would I Do Without You
  63. Lonely Avenue
  64. Leave My Woman Alone
  65. I Want to Know
  66. Ain’t That Love
  67. It’s All Right
  68. Get on the Right Track Baby
  69. Swanee River Rock (Talkin’ ‘Bout That River)
  70. I Want a Little Girl
  71. Talkin’ ‘Bout You
  72. What Kind of a Man Are You
  73. Yes Indeed
  74. I Had a Dream
  75. My Bonnie
  76. You Be My Baby
  77. Rockhouse PT1 & 2
  78. Tell All the World About You
  79. What’d I Say – Part1

    ここまでがCD3枚目です。「Greenback」のトーキングブルーズがかっこいいのです。トラック59「自分の涙で溺れ死ぬ」という超絶バラードもあります。
    「ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソウ」「マイ・ボニー」は初期ハンブルグ時代のビートルズもカバーしたスタンダードです。
    そして極め付けは最後の「ホワッド・アイ・セイ」です。1分30秒過ぎまでインストが続き、そして待ってましたとばかりにヴォーカルが始まります。盛り上げて終わったとおもったらブレイクして、コールアンドレスポンスが始まります。トランス状態まで持っていかれそうな瞬間です。
  80. (Night Time Is) the Right Time
  81. Tell Me How You Feel
  82. That’s Enough
  83. I’m Movin’ On
  84. I Believe to My Soul
  85. Let the Good Times Roll
  86. Don’t Let the Sun Catch You Cryin’
  87. Just for a Thrill
  88. Tell the Truth
  89. Sweet Sixteen Bars
  90. Come Rain or Come Shine
  91. Tell Me You’ll Wait for Me
  92. Early in the Morning
  93. A Bit of Soul
  94. Am I Blue
  95. I Wonder Who
  96. Hard Times (No One Knows Better Than I)
  97. My Baby (I Love Her, Yes I Do)
  98. Who You Gonna Love
  99. Sticks and Stones
  100. Worried Life Blues
  101. Georgia on My Mind
  102. Carry Me Back to Old Virginny

    ここまでがCD4枚目です。
    ここからステレオ音源となります。B.B.キングで有名な「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」やポップス寄りの「ドント・レット・ザ・サン・キャッチ・ユー・クライン」など幅が出てきます。「スウィート・シックスティーン・バーズ」はジャズ寄りのピアノ曲です。
    「Hard Times (No One Knows Better Than I」というすごいタイトルの曲もあります。いい曲です。
    そして、そしてレイ・チャールズといえばこの曲「我が心のジョージア」もあります。
  103. Them That Got
  104. I Wonder
  105. Hard Hearted Hannah
  106. Ruby
  107. Hit the Road Jack
  108. The Danger Zone
  109. Unchain My Heart
  110. But on the Other Hand, Baby
  111. One Mint Julep
  112. Let’s Go
  113. I’ve Got News for You
  114. I’m Gonna Move to the Outskirts of Town
  115. Baby It’s Cold Outside
  116. We’ll Be Together Again
  117. Hide ’Nor Hair
  118. At the Club
  119. I Can’t Stop Loving You
  120. Born to Loose
  121. You Don’t Know Me
  122. Careless Love
  123. You Are My Sunshine
  124. Your Cheating Heart
  125. Take These Chains from My Heart

    以上、ここまでがCD5枚目です。
    5枚目はカントリーに接近している感じですが黒っぽさは隠せません。「ユー・アー・マイ・サッンシャイン」もだいぶイメージが違います。
    「旅立てジャック」「アンチェイン・マイ・ハート」などの素晴らしい曲やジャズっぽい「ワン・ミント・ジュリプ」もいい感じです。
    オーケストラバックで歌うのが多くなっていますがそんなにはアマアマアレンジにはなっていません。

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