「ゴスペル・ミュージックの金字塔」Amazing Grace : Aretha Franklin / 至上の愛 : アレサ・フランクリン

 クイーン・オブ・ソウルと呼ばれたアレサ・フランクリンです。1967年からアトランティック・レコードで数々の珠玉のソウル・ミュージックをリリースしました。「アイ・ネバー・ラヴド・ア・マン」、「レディ・ソウル」「アレサ・ナウ」などこの時期は全てがソウルミュージックの名盤と言われています。

そして1972年1月、原点に帰るかのようにロサンゼルスのテンプル・ミッショナリー・バプティスト教会でゴスペル・ライブ録音をします。
それがこの「アメイジング・グレース」です。

このライブは映画用にライブ映像も撮影されましたが、長らく映像と音声が同期していないことになり、発表されませんでした。
監督は有名なシドニー・ポラックでアレサの映画を取れるということで引き受けたそうです。
カチンコを使わなかったので映像と音声の同期が取れなくなったと言われています。
場所が教会なので不要な音を出すのが憚られ、すべて「ダダ撮り」「ダダ録り」だったのでしょうか。

それはアナログ時代は致命的なことでしたが、デジタルコンバートできる今となってはリップシンクなどの音の同期作業なんて時間さえあれば簡単です。(と言っていいのか?)
ということで2021年にめでたく伝説の映画が公開されました。
私は2021年の7月に横浜・関内の横浜シネマリンで見ることができました。

アルバムは20代の頃からアナログレコードで持っていましたが、映像を見るとやはり感慨ひとしおです。教会の雰囲気や緊張感含めて素晴らしい記録映画でした。アレサ は言うに及ばず、ジェームス ・クリーヴランドが人間性含めて良いのです。アレキサンダー・ハミルトンもかっこいいです。そして超一流のバックバンドのメンバーです。

来歴
アレサ・フランクリンは1942年3月25日、メンフィス にて牧師の家庭に生まれ、デトロイトで育ちました。小さい頃から教会でゴスペルを歌って育ちます。その頃からすでに彼女の歌は評判でした。
1961年にはコロンビア・レコードからデビューしますが、本格的に活躍を始めるのは1966年にアトランティック・レコードに移籍し、ジェリー ・ウェクスラーによってゴスペル・フィーリングを前面に打ち出すようになってからです。
録音をアラバマ州マッスル・ショールズのフェイム・スタジオで始めます。
この名前もソウルミュージック愛好家にとってはキーワードです。ウィルソン・ピケットやキャンディ・ステイトン、クラレンス・カーターなどのミュージシャンによって、ここから素晴らしいソウルミュージックがたくさん誕生しました。
サザン・ロックのデュエイン・オールマンもスタジオ・ミュージシャンとしてここから始まっています。

彼女は本当にすごい声を持つ歌手なのですが、それを活かすにはそれ相当のプロデュースが必要となります。
長いキャリアの中ではそれを活かしきれなくて、本人も迷っているような時期もありました。が、通して音楽活動が継続されました。
2018年8月16日、デトロイトにて78歳でご逝去されました。

アレサ ・フランクリンのゴスペル・ミュージックを広めた功績は大きいものがあります。
ポップス、ソウル、ロックの世界でも最高の評価を受ける偉大なる歌手でした。ソウルの女王ですが、最後までゴスペルの世界を忘れませんでした。
現在の音楽界においても、特に若い女性歌手の指標となっていると感じます。

ブルーズやソウルを聴き始めるとどうしてもゴスペル・ミュージックを知りたくなります。
いろいろ聞きかじっていくと、ブルーズとカントリーとソウルにおいてはゴスペル は切り離せないものとわかります。

アルバム「アメイジング・グレイス」のご紹介です。

演奏
アレサ ・フランクリン  リードヴォーカル、ピアノ
ジェームス ・クリーヴランド  ピアノ 
コーネル・デュプリー  ギター
チャック・レイニー  ベース
バーナード・パーディ  ドラムス
ケネス・ルーパー  オルガン、キーボードパンチョ・モラレス  コンガ、パーカッション

*サザン・カリフォルニア・コミュニティ・クワイア
 バックグラウンド・ヴォーカルズ 
 指揮 アレキサンダー・ハミルトン

曲目
*参考としてyoutube音源と最後部にプロモーション動画をリンクさせていただきます。

01,  Mary Don’t You Weep  メリー・ドント・ユー・ウィープ

映画では7曲目、第2部(2日目)のオープニング曲です。リハーサル映像などもはさなれます。曲はゴスペルスタンダードです。アレサはコーラス隊に導かれるように静かに歌い始めます。


02,  Medley : Precious Load, Take My Hand / You’ve Gotta Friend  メドレー : プレシャス・ロード、ユー・ガッタ・フレンド

映画では5曲目、キャロル・キングとゴスペル・スタンダードをうまく繋いで盛り上がります。


03,  Old Landmark  オールド・ランドマーク

映画では9曲目、トランス状態で踊るお客さんたちがみれるインスト曲を挟んで同じく激しいリズムで進む曲です。


04,  Give Yourself To Jesus  ギブ・ユアセルフ・トゥ・ジーザス

もうなんともコーラス隊とのコール・アンド・レスポンスが素晴らしい。


05,  How I Got Over  ハウ・アイ・ガット・オーバー

映画では3曲目、リハーサル映像も挟みます。指揮のハミルトンも乗ってます。


06,  What A Friend We Have In Jesus  ホワッツ・ア・フレンド・ウイ・ハヴ・イン・ジーザス

映画では2曲目です。これも有名なゴスペルです。


07,  Amazing Grace  アメイジング・グレイス

映画では6曲目、アレサは自分のリズムで、間で歌います。コーラス隊含めていろんな人たちが感極まっています。


08,  Precious Memories  プレシャス・メモリーズ

映画では4曲目です。ジェームス・クリーヴランドも歌ってます。


09, Climbing Higher Mountains  クライミング・ハイヤー・マウンテンズ

映画では8曲目です。映画ではアレサが一度止めてやり直します。後半パワフルになっていきます。


10,  Remarks By Reverend C.L.Franklin 

アレサの父でるRev C.L.フランクリンの説教です。
 

11,   God Will Take Care Of You  グッド・ウィル・テイク・ケア・オブ・ユー

アレサのピアノ弾き語りです。最後は激しいリズムとなっていきます。


12,   Whole Holy  フォール・ホーリー

映画ではこの曲から始まります。アレサはピアノを弾いて歌います。


13,   You Never Walk Alone  ユー・ネヴァー・ウォーク・アローン

切々と歌い上げます。いい曲です。


14,   Never Grow Old  ネヴァー・グロウ・オールド

映画では10曲目、熱唱です。映画館で見たときには客席のミックジャガーとチャーリー・ワッツも映りました。

以上が正規にリリース正規にリリースされていた2枚組アナログLPレコードの曲順です

最近はコンプリートものもリリースされています。そしてぜひぜひ映画もご体験していただきたいものです。歌の力を視覚的にも見せつけられます。
映像についてはyoutubeに映画のプロモーションがアップされていますので参考までに最後部にリンクさせていただきます。

映画の中で、アレサが「アメイジング・グレイス」を歌う最中、バンマスで責任感の強いジェームス ・クリーヴランドですが、感極まってピアノを弾けなくなり泣き崩れます。その時聖歌隊指揮者のアレキサンダー・ハミルトンがそっと横に座って交代します。
その印象的だったアレキサンダー・ハミルトンも2022年1月28日、77歳で亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。

Amazing Grace
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Bitly
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