「祝!、ロックンロール・ホール・オブ・フェイム。無頼派で皮肉屋のロッカー、ウォーレン・ジヴォンの最大のヒット作です。」Excitable Boy : Warren Zevon / エキサイタブル・ボーイ : ウォーレン・ジヴォン

 ちょっと時間が経ってしまいましたが、個人的に2025年は嬉しい出来事がありました。
なんとめでたく「Musical Influence Award=音楽的影響力部門」でウォーレン・ジヴォンがロックンロールの殿堂入りしたのです。

ウォーレン・ジヴォンといえば自身でのヒット曲は少なかったものの、書いた曲は著名なミュージシャンにカバーされることが多く、オリジナリティあふれる世界と個性的な視点は音楽仲間から高い亜評価を受けていました。

いわゆるニュージシャンズ・ミュージシャンというやつです。

また彼の書いた曲は本当に素晴らしい曲が多いのですが、本人よりもカバーバージョンの方が評価されるというちょっと可哀想な人でもありました。

無頼派、つむじ曲がり、皮肉屋だったのでマスコミも含め、きっと仕事で付き合うにはめんどくさい人でした。
(個人の感想です)

この「エキサイタブル・ボーイ」のジャケットを見て「この見た目でそういう性格なら、もうどうしようもないって感じだな」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、大丈夫です。

彼のアルバムジャケットごとにかなりの振幅差を持ってイメージが変わりますので、本当の彼は彼の書く音楽の中にあると思ってください。

特に往年はシャイな感じからワイルドなものまでどれが本物かわからないくらいアルバムによって雰囲気が変わります。(あまりフォローになっていません)

ウォーレン・ジヴォンは悲しいことにすでに2003年9月7日に56歳で亡くなっています。

でも死後12年経っても評価され殿堂入りできたことは本当に喜ばしいことです。

1970年にデビューして以来、コンスタントに質の高いアルバムをリリースしてきたウォーレン・ジヴォン、(これには異論もあると思いますが、痘痕も靨『アバタモエクボ』というやつです)

中でも商業的に一番成功したアルバムがこの「エキサイタブル・ボーイ」です。

1978年にジャクソン・ブラウンとワディ・ワクテル(ギタリストとしても有名)のプロデュースでリリースされました。

全米トップ40で21位にランクイン、全米ビルボード200では10位に入るなど健闘してプラチナ・ディスクを獲得するに至りました。

前作、セカンドアルバムとなる「Warrren Zevon=邦題: さすらい」の高評価によって期待されていたこともあります。

それはもちろん数字では同じウエストコーストの大スター、イーグルスやジャクソン・ブラウンの足元にも及びません。

ウォーレン・ジヴォンの存在意義はもっと違うところにあります。

ウエストコーストという爽やかで明るい感じのイメージの中で無頼派で皮肉屋、ある意味硬派な物語を歌うウォーレン・ジヴォンはロックな存在でした。
もちろんアリーナロックとかAORなどとはかなりの距離を感じます。

同じ雨ような存在にトム・ウェイツがいます。
トム・ウェイツというと有名になった1980年代にはニューヨークへ活動拠点が移っていましたのでなんとなくイーストコーストの街の酒場を連想したりもしますが、出身はカリフォルニアです。

ただしウォーレン・ジヴォンの描く世界はトム・ウェイツほど泥臭い日常ではありません。(そちらも好きですが)

そういう意味においてもウエスト・コースト・ロックの中でも他にはない個性で重要な存在です。

ニューヨーク・タイムズ紙がウォーレン・ジヴォンを次のように紹介しています。

「ウォーレン・ゼヴォンはパルプ・フィクション的な想像力を持っており、それが『簡潔でアクション満載の、ブラックユーモアに満ちた物語』を生み出し、4分で脚本全体を描き出すことができ、しばしば死がオチとなっていた。しかし、ゼヴォン氏のバラードには、『Mutineer』、『Accidentally Like a Martyr』、『Hasten Down the Wind』のように、脆さや切望も含まれていた。」

音楽評論家でありDJでもあるデイヴ・マーシュはウォーレン・ジヴォンについて

「南カリフォルニアから出てきた最もタフなロッカー」と表現し、

ローリング・ストーン誌のレコードレビュー編集者ポール・ネルソンはこのアルバムを

「1970年代で最も重要なリリースの一つ」と評しました。

さらに

「ジャクソン・ブラウン、ニール・ヤング、ブルース・スプリングスティーンと並んで、この10年間に登場した最も重要な新人アーティスト4人のうちの一人」

として挙げました。

(オフィシャルウェブサイトからの引用写真です)

Warren Zevon - The Official Website

個人的にウォーレン・ジヴォンの残したアルバムは全てが好きです。
このアルバムではありませんが、いかにもウォーレン・ジヴォンらしいカバーがあります。

2000年にリリースしたアルバム「Life’ll Kill Ya」でスティーヴ・ウインウッドのヒット曲「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ・アゲイン」をカバーしています。

ウインウッドの押さえながらも力強く希望を謳っているのに対して、ジヴォンは全く同じ歌詞を歌いながらもまるで、
「華やかな生活に戻って、そこに本当に求めていたものがあるのかい?」
と語りかけてくるようです。

それはもちろんウインウッドに対してではありません。
世の中の全ての「手段が目的になっている」人に対してです。

そして3年後にはいなくなる自分に向けて歌っているようです。

ウォーレン・ジヴォンはそんなふうに優しい皮肉屋だったと思っています。

アルバム「エキサイタブル・ボーイ」のご紹介です。

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演奏

  • ウォーレン・ジヴォン
    リードボーカル、ハーモニーボーカル、バッキングボーカル、ピアノ、オルガン、シンセサイザー
  • ホルヘ・カルデロン
    ハーモニーとバックコーラス、「ベラクルス」のスペイン語ボーカル
  • ダニー・コーチマー
    ギター、パーカッション
  • ラス・カンケル
    ドラム

ゲスト・ミュージシャン

  • カーラ・ボノフ
    「Accidentally Like a Martyr」のハーモニー・ボーカル
  • JD サウザー
    バックコーラスおよびハーモニーボーカル
  • ジェニファー・ウォーンズ
    「Excitable Boy」のハーモニー・ボーカル
  • リンダ・ロンシュタット
    「Excitable Boy」のバックコーラスとハーモニーボーカルを担当
  • ジャクソン・ブラウン
    ギター、ハーモニー、バックコーラス
  • ワディ・ワクテル
    ギター、シンセサイザー、ハーモニー、バッキングボーカル
  • ケニー・エドワース
    「Veracruz」、「Tenderness on the Block」、「Lawyers, Guns and Money」でベースギターを担当
  • ジョン・マクヴィー
    「ロンドンの狼男たち」のベース
  • ボブ・グラウブ
    「Roland the Headless Gunner」、「Excitable Boy」、「Nighttime in the Switching Yard」でベースギターを担当
  • リーランド・スカイラー
    「Johnny Strikes Up The Band」と「Accidentally Like a Martyr」でベースギターを担当
  • ミック・フリートウッド
    「ロンドンの狼男たち」のドラム
  • リック・マロッタ
    「Veracruz」と「Lawyers, Guns and Money」でドラムを担当
  • ジェフ・ポーカロ
    「ナイトタイム・イン・ザ・スイッチング・ヤード」のドラムとパーカッション
  • ルイス・ダミアン
    「ベラクルス」のハラナ
  • アーサー・ゲルスト
    メキシカンハープ
  • ジム・ホーン
    「ベラクルス」でリコーダー、 「エキサイタブル・ボーイ」でサックス
  • グレッグ・ラダニー
    「ナイトタイム・イン・ザ・スイッチング・ヤード」の鐘演奏
  • マヌエル・バスケス
    「ベラクルス」のレキント

制作

  • ジャクソン・ブラウン、ワディ・ワクテル
    プロデューサー
  • グレッグ・ラダニー、デニス・カーク
    エンジニア
  • ジョージ・イバラ、セルジュ・レイエス
    アシスタントエンジニア
  • ジミー・ワクテル
    アルバムデザイン、写真
  • クリスタル・ゼヴォン、ローリー・サリバン
    追加写真

曲目

*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。

1,   Johnny Strikes Up the Band   ジョニー・ストライクス・アップ・ザ・バンド
(ウォーレン・ジヴォン)

ウォーレン・ジヴォンは特に素晴らしい喉を持っているわけではありませんが、やや不安定な部分も含めて個性的で良いのです。
中間部のギターソロも気合いが入っています。

2,   Roland the Headless Thompson’s Gunner ローランド・ザ・ヘッドレス・トンプソンズ・ガナー
(デヴィッド・リンデル)

お得意のウエスタンに出てくるようなならず者の歌です。このリズムでこの歌い方はとっても説得力があります。

3,   Excitable Boy エキサイタブル・ボーイ
(ルロイ・マリネル)

明るい感じで始まります。ドゥーワップ風の女性コーラスもある意味ウォーレン・ジヴォンらしいのです。

ライブです。

4,   Werewolves of London ロンドンの狼男
(ルロイ・マリネル、ワディ・ワクテル)

これまたポップな曲調です。これといって印象的な展開もなくひたすら心地よく続きます。

5,   Accidentally Like a Mrtyr アクシデンタリー・ライク・ア・マーティ
(ウォーレン・ジヴォン)

隠れた名曲です。ボブ・ディランもカバーしています。
これもリンダ・ロンシュタッドが歌えばさらに良くなりそうですが。

6,   Nighttime in the Switching Yard ナイトタイム・イン・ザ・スイッチング・ヤード
(ホルヘ・カルデロン、デヴィッド・リンデル、ワディ・ワクテル)

ひたすら強引に同じリズムで引っ張って行きます。

7,   Veracruz ベラクルーズ
(ホルヘ・カルデロン)

こういうバラードにはウエストコーストを感じさせます。
サビのムサい野郎だけのハモリもいい感じです。(個人の見解です)

8,   Tenderness on the Block テンダネス・オン・ザ・ブロック
(ジャクソン・ブラウン)

ジャクソン・ブラウン作でリズムが凝った楽曲となっています。

9,   Lawyers, Guns and Money ロイヤーズ・ガンズ・アンド・マネー
(ウォーレン・ジヴォン)

最後に相応しくどっしりとした曲を持ってきました。

このアルバム全体を通してプロデューサーにワディ・ワクテルが絡んでいるせいか全曲バックのギターがキレキレで素晴らしく、特にソロが気合の入った起承転結となっています。

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