

ジミ・ヘンドリクスの没後すでに50年以上経過してしまいました。にもかかわらず今だにローリング・ストーン誌のオールタイム・グレイト・ギタリストなどで1位となっています。
ジミ・ヘンドリクスより上手い人、早く弾ける人はヴァン・ヘイレンなど今となってはたくさん出てきています。
でも人気、評価ともにジミを追い越すことはもう無理なんではないかと思われる状況になっています。
ギターキッズをはじめロック界では1970年代から尊敬と畏敬の念を持って「ジミヘン」と呼ばれました。
ライヴ映像を見るとよくわかりますが、ジミのすごいところはなんと言ってもリズム感だと私は思っています。他のテクニックはともかく、リズム感だけは絶対に勝てないと同時代のロックミュージシャン、ギタリストも感じたと思います。
特にイギリスの3大ロックギタリストと言われるエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジもジミの前では敵ではありませんでした。
というかみんなこぞってお勉強がてらジミのコンサートに通っていたそうです。
彼らからしたらジミは2〜3歳年上なので、ビートルズと同じく兄貴分という感じだったのかもしれません。
同い年のポール・マッカートニーでさえ「ジミ・ヘンドリクスこそギターのチャンピオン」と答えています。本当に持って生まれたものが違うと感じます。
ジミの使用していた機材は今のギタリストと違って、華麗で綺麗なオーバードライヴ音ではなく、荒モノのエフェクターをいくつかアンプに繋いだだけのシンプルなものです。
トレードマークのギターはストラトキャスターです。
出力がギブソンのハムバッキングピックアップに比べてもシングルコイルピックアップなので小さいのです。なので当時のアンプではオーバードライヴ時の歪み。迫力が思い通りになりません。
でもトレモロアームというジミにとっては欠かせない機能がついているのでストラトキャスターを選んでいたと言われています。
おあつらえ向きにその欠点を補えるようなマーシャルのギターアンプとファズというブースターを兼ねている “歪み系” エフェクターも登場しましたので、これ幸いという感じでデビュー時から使っていました。
ジミは手が大きい、指が長いことでも有名です。なのでネックを掴んでも親指でセーハ(1弦から6弦まで指1本で押さえる)も可能なくらいです。
そして残りの4本の指でハンマリング・オンとかプリング・オフを指ぐせのように入れてきますので2枚目のアルバム「アクシス・ボールド・オブ・ラヴ」の「砂のお城」とか「リトル・ウイング」とかなかなか同じようには弾けません。
ついでに言っておくとジミは左利きなのですが、ストラトキャスターの右利き用のギターをナットと弦だけ逆さまにつけて使用しています。するとリアピックアップの傾きが通常の逆となり、総じて音質が若干柔らかくなります。
そしてヴォーカルです。本人も認めている通り、彼はコンプレックスに感じていました。レコーディング時もカーテンなどで隠して歌ったりしていたそうです。
この3枚目のアルバムあたりから自信をつけていったとも言われています。
もしかしたらそういうコンサートなどの人前で歌う緊張感などからオクスリに頼ってしまっていたのかもしれません。
音楽家なのでそうそう図太い神経は持ち合わせてなかったと思います。
確かに洋楽で上手いヴォーカリストを聴き慣れている耳にはお世辞にも上手いとは言えません。言って、大人の対応で「おじょうずです」くらいです。
でもそれを考慮してもあまりあるくらいの音楽の質と革新的なサウンドを持っていました。

生前にリリースされたオリジナルアルバムは4枚しかありませんが、死後にコンピレーションものも含めて膨大な数のアルバムがリリースされています。正直言ってアルバムリストは時代とかメンバーとかを考えるとグチャグチャです。
今からジミ・ヘンドリクスを聴いてみたいという貴兄はとりあえずはオリジナルアルバムから入ることをお勧めします。
ジミヘン関係は名盤と言われるものが多く、オリジナル盤が廃盤になることもありません。
よって需要が常に高いのでリマスター音質も極上です。
ちなみに「エレクトリック・レディランド」のデジタルリマスターの歴史とエンジニア
*リー・ハーシュバーグ 最初のCDリリース
*ジョー・ガストワート 1989年のCDリマスター
*エディ・クレイマー、ジョージ・マリノ 1997年のCDリマスター(私が聴いているのはコレです)
*バーニー・グランドマン、スコット・セディロ 2018年のCDリマスター
この「エレクトリック・レディランド」はザ・ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスというバンドでリリースした3枚目のアルバムです。
1968年10月16日にリリースされ、ジミ自身初めてのナンバーワンヒットのアルバムとなりました。
アルバムジャケットは何種類かありますが、レコードで持っていた裸の女性がいっぱい写っているのは見なくなりました。性差別に敏感な時代ですので、それを見越した対応なのでしょう。ジミ本人も気に入ってなかったそうです。
この頃はすでにジミはいろんなミュージシャンから絶賛されている時で、ゲストもスティーヴ・ウインウッドやアル・クーパー、デイヴ・メイソン、ジャック・キャサディ、ブライアン・ジョーンズなど当時のロック界の大物がクレジットされています。


アルバム「エレクトリック・レディランド」のご紹介です。

演奏
*ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス
ジミ・ヘンドリクス ヴォーカル、ギター
ノエル・レディング ベース
ミッチ・ミッチェル ドラムス
フレディ・スミス テナーサックス Tr. 10,13
スティーヴ・ウインウッド ハモンドオルガン(Voodoo Chile)
マイク・フィニガン オルガン Tr. 10,13
アル・クーパー ピアノ Tr. 6
デイヴ・メイソン 12弦ギター
ジャック・キャサディ ベース (Voodoo Chile)
バディ・マイルス ドラムス Tr. 10,13
ラリー・フォーセット コンガ Tr. 10,13
クリス・ウッド フルート Tr.11
ブライアン・ジョーンズ パーカッション Tr. 15
ザ・スウィート・インスピレーション コーラス Tr. 9

曲目
*参考までに最後部にyoutube音源をリンクさせていただきます。
1, … And the Gods Made Love 恋の神々
流石に時代を感じるスタジオギミックですけど、当時はこんなことも可能という最先端でした。
2, Have You Ever Been (to Electric Ladyland) エレクトリック・レディランド
ジミヘンが思い切りカーティス・メイフィールドを意識した曲とファルセットの歌い方です。
3, Crosstown Traffic クロスタウン・トラフィック
ノリノいい曲です。普通のロックンロール以外の方向を探しているんだろうなあと思います。
4, Voodoo Chile ヴードゥー・チャイル
スタジオでジャムった曲というのがアドリブ感からわかります。ベースはジェファーソン・エアプレーンのジャック・キャサディです。スティーヴ・ウインウッドのオルガンの重要さがよくわかります。終わり近くのジミのブルーズマナーのギターソロは神がかりです。やはりじっくり聞くとやっぱりすごい曲です。
5, Little Miss Strange リトル・ミス・ストレンジ
ノエル・レディングの曲で明らかにこのアルバムでは浮いているのですが、笑って聞けます。12弦ギターの音はデイヴ・メイソンらしいです。左のギターはノエル・レディングだそうです。
6, Long Hot Summer Night ロング・ホット・サマー・ナイト
ソウル方面に寄せた感じの曲です。正直にいうとヴォーカルが良ければもっといい曲になったと思います。その辺も含めて聴くのがジミヘンの味わい方です。
7, Come On (Let the Good Times Roll) カム・オン(レット・ザ・グッド・タイムス・ロール)
ニューオリンズ出身のミュージシャン、アール・キングの曲でスタンダードです。こういう曲でもギターソロにジミのセンスを感じます。
8, Gypsy Eyes ジプシー・アイズ
ファンキー炸裂です。こっちの方向を目指すならエクスペアリアンスのメンバーでは無理だと感じたことでしょう。
9, Burning of the Midnight Lamp 真夜中のランプ
ジミヘンの中でも有名曲です。イントロからしてちょっと変わった感じですが、曲の展開も独特で元ネタはあるのでしょうが作曲の才能を感じます。
10, Rainy Day, Dream Away 雨の日に夢去りぬ
サックスから始まり、ジミヘンなりにジャズに寄っています。ドラムスはバディ・マイルスです。
11, 1983…(A Merman I Should Turn to Be) 1983
ジミヘンの音楽的な幅を感じさせる曲です。途中からプログレです。初期のキングクリムゾンがやってたようなことを1年先に演ってます。
12, Moon, Turn The Tides … Gentry Gentry Away 月夜の潮路
これもスタジオ効果音遊びです。
13, Still Raining, Still Dreaming 静かな雨、静かな夢
人の声のようなワウギターで始まります。シャッフルのノリです。あえて狙ったのかちょっとグダグダ感を出しています。
14, House Burning Down 焼け落ちた家
初期にスローブルーズマナーの「レッド・ハウス」という名曲がありますが、そういう感じで始まります。途中からは思いっきりロックに寄せてきます。
15, All Along the Watchtower 見張り塔からずっと
ボブディランの曲ですが、本家より有名になってしまいました。ジミヘンの中でも名演と言われています。ジミはディランが好きで「ライク・ア・ローリング・ストーン」などもカバーしています。ヘアスタイルもディランのボサボサリーゼントを真似ていたそうです。
16, Voodoo Chile (slight return) ヴードゥー・チャイル(スライト・リターン)
超有名曲でいろんなアーティストがカバーしています。トラック4も合わせて名曲です。この曲のタイトルは日本人には馴染みがないのですが、Voodooというパワーワードもありますので、アメリカ人にとっては印象が強いのだと思います。

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