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これは1970年代アメリカン・ロック、スワンプ・ロックの最も象徴的なバンドだった「オールマン・ブラザーズ・バンド」が逆境の中、起死回生の一打でリリースしたアルバムです。
今までのオールマン・ブラザーズはブルーズ、ソウルっぽい曲を中心に重く分厚いリズムで演奏するバンドでしたが、ここで方向転換してカントリーやブルーグラス風味の軽い感じも取り入れています。
これが見事に功を奏し、今までの中でも最もヒットしたアルバムとなりました。
方向転換のきっかけはバンドの中心人物で “スカイドッグ=天翔る犬” と呼ばれるスライドギターの名手だったデュエイン(デュアン)・オールマンが1971年10月29日にバイク事故で他界したことです。
今までと同じようには行かなくなったことで、バンドの音楽性を変えていかざるを得なくなったことが大きいと考えられます。
さらにベーシストのベリー・オークリーも1973年8月1日のアルバムリリース直前に同じくバイク事故で亡くなってしまいました。
そういう重なる逆境の中で結束して弔い合戦(相手はいませんが)的雰囲気があったのだろうと思われます。
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アルバム制作に当たってはなんとかバンドを存続させ、より発展させていこうと今度はセカンド・ギタリストだったディッキー・ベッツが中心となって曲を作り、この「ブラザーズ・アンド・シスターズ」を完成させました。
(ディッキー・ベッツのイメージはいつもカウボーイ・ハットに皮のベストとジーンズに髭というイメージです)
グレッグ・オールマンのブルーズフィーリングとディッキー・ベッツの南部カントリーフィーリングがうまくミックスしたアルバムが出来上がりました。
これがまたアメリカでは非常によく受け入れられて今までのアルバムの中では1番のヒットを記録します。
より幅広いファンを獲得していくことになりました。
アルバムに収録され、シングルカットされた象徴的な曲「ランブリン・マン」は世界中で大ヒットしました。
そこから何十年と経過した今ではオールマン・ブラザーズの名盤は不動の「フィルモア・イースト・ライブ」となっていますが、次点はというとこのアルバムをあげる人も多いのです。
アルバムがリリースされた1973年といえばロックフェス最大の観客動員を記録したイベントがありました。
この時代は1969年ウッドストック(40万人)、1970年ワイト島フェス(50万人)などとSR機材の発達により大規模なイヴェントが可能になっていく時代でした。
しかし1973年にたった3グループでそれらを上回る60万人を動員した、かの「ワトキンズ・グレン・サマー・ジャム」が7月28日に開催されたのです。
出演はグレイトフル・デッド、ザ ・バンド、オールマン ・ブラザーズ・バンド(出演順)」の3組だけです。
さすがは1970年代のアメリカンロックを象徴する3バンドです。
この3バンドは技術的にも凄いものがあり、特にライブの評価は絶対です。
オールマン ・ブラザーズの「ライブ・アット・フィルモア・イースト」はもとよりザ・バンドの「ロック・オブ・エイジズ」デッドの「ライブ・デッド」は今やロック・ライブアルバムの古典となっております。
オールマン・ブラザーズ・バンドは再結成やメンバーチェンジを繰り返しながら活動していましたが、2014年10月に活動を終了しました。中心だったグレッグ・オールマンも2017年に亡くなっています。
彼らの演っていた音楽は今はどうなっているかというと、オールマン・ブラザーズのドラマー、ブッチ・トラックスの息子デレク・トラックス などによって現在も引き継がれています。
デレク・トラックスはジョン・メイヤー、ジョン・フルシアンテとともに新世代3大ギタリストと呼ばれています。
音楽性もブルーズやロック一辺倒ではなくマイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンの曲をカバーしたりして幅広いものです。
ちなみに奥方はブルーズ・ウーマンのスーザン・テデスキーで「テデスキ・トラックス・バンド」として一緒に活動しています。
弟はドラマーでデュエイン(デュアン)・トラックスという名だそうです。
そういえばこの前、デレク ・トラックス 率いるテデスキ・トラックス ・バンドが1971年にエリック・クラプトンとデュエイン・オールマン が共演したデレク ・アンド・ザ・ドミノスの「レイラ」という2枚組アルバムの完コピ・ライブを演ってリリースしました。
このサザン・ロック、スワンプ・ロック路線はまだしっかりと太い幹を残していますね。
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演奏
グレッグ・オールマン ヴォーカル 、ハモンドオルガン
ディッキー・ベッツ ギター、ヴォーカル
ベリー・オークリー ベース Tr. 1,2
Jay Johanny Johanson ドラムス、パーカッション
ブッチ・トラックス ドラムス、パーカッション
チャック・リーヴェル ピアノ、コーラス
Lamar Williams ベース
アディショナル・ミュージシャン
Les Dudek ギター Tr. 2,6
Tommy Talton アコースティック・ギター Tr. 7
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曲目
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。(デラックス・エディションです。オリジナルアルバムとしては7曲目の「Ponny Boy」までです)
1, Wasted Words ウェステッド・ワーズ
この曲は今までのオールマン らしい曲です。スライドギターも出てきて、全員でヘヴィーにドライブします。安心のオールマン節です。
2, Ramblin’ Man ランブリン・マン
カントリー風のポップな名曲です。この曲はアニメ動画になっていて秀逸です。
昔、先輩のバンドが演奏しているのを聴いてオールマンが好きになりました。
3, Come And Go Blues カム・アンド・ゴー・ブルーズ
タメとブレイクがよく効いています。ピアノソロもいいです。後半にギターで盛り上げるところにカタルシスを得られます。
4, Jelly, Jelly ジェリー、ジェリー
ストーミーマンデイとほぼ同じ曲です。さすが上手いバンドが演ると違います。最後は盛り上がりつつもフェイドアウトしていきます。
5, Southbound サウスバウンド
この列車の如き推進力のリズムがオールマンなのです。
6, Jessica ジェシカ
これもお得意のメロディアスインストの名曲です。各楽器がそれぞれ見事に歌い上げます。
アメリカ南部を想像します。
7, Pony Boy ポニー・ボーイ
最後のトラックはブルージーなアコースティックギターで始まり、だんだんとリズムが跳ねて列車のリズムになっていきます。ソロでは楽器の掛け合いも出てきます。
そして最後はシンプルな膝叩きになって終わります。
テデスキ・トラックス・バンドによる「レイラ完コピアルバム」はこれ。
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