「アナログマスターからデジタルアップデートの最終回答」The Dark Side of the Moon(50th Anniversary)[2023 Remaster] : Pink Floyd / 狂気 50周年記念 : ピンク・フロイド

<LP時代のオリジナルアナログ音源からデジタルアップデートに対する最終解答?> 

先だって、というか先月のことですが、ピンク・フロイドの2022年音源について紹介した際、来月50周年記念がリリースされるとのことも書きました。
正直、別テイクとかライブとかの尾鰭(おひれ)をつけただけのボックスものは純粋にアルバムを味わうこととは違うと思っていたので、購入はしないだろうなって思ってました。

でも結局、手に入れることとなったのです。なぜかといえばこの前の「狂気」の時にも触れましたが、このアルバムは1973年より5,000万枚以上の売り上げを記録し、楽曲の良さはもちろんとして、音質評価のリファレンス素材としても定着していました。

ジャンルを超えて存在するモンスターアルバムなのです。
詳細は先月の「狂気」をご覧いただければと思います。

ということは、いよいよオリジナルがアナログ音源のデジタルアップデートに対する最終解答が近づいている気がするのです。オーディオ的側面からの興味を押さえ切れません。

オーディオマニアの間では今でもレコードの音が最高であり、所詮デジタルなんてアナログの極上の音に比べれば遠く及ばないものだ。という意見が後を絶たない、というか根強くあります。

個人的にはデジタル音源の良さ、安価で劣化がなく、製作者の意図がダイレクトに伝わるというメリットが大きいので、デジタルにも頑張ってもらいたいところです。個人的にはデジタルの可能性を信じています。

ブルーノートの1500番代、4000番代をデジタルアップデートする時、録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダー氏の言った「デジタル化することにより、スタジオのモニタースピーカーと自宅のリスニングルームのスピーカーを直結することができる」という言葉に深いロマンを感じます。

ということはこの「狂気50周年リマスター音源」に対する評価が今後のデジタルリマスターに対する結論となるかもしれない。アナログ至上主義に対する解答です。

ということで当然これをスルーするわけにはいきません。(煽り過ぎです)

と言いつつも最初からボックスセットというのは流石に手を出しづらいものがあり、ハイレゾダウンロードで手に入れました。ウエンブリー・アリーナのライブも買っちゃおうかな。もしかしたらエンジニアに敬意を評してボックスまでいくか。

*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。



感想のコーナー
2022年リリースのハイレゾ と比較した感想です。

・トラック2 Breath
始まるとミックスの違いが見えてきます。ここではギターの音が若干引っ込みました。2022は如何にもストラトキャスター な音です。2023はヴォーカルはより芯が出てきた感じです。ドラムも定位がよりはっきりしています。

・トラック3 On the Run
2023はバックのゴーゴー、ガーガーと鳴っている効果音が小さくなっています。単に小さいというより不要な高域歪み成分を取ってある感じ。

・トラック4 Time
2023の方が時計の音などはより高級感を感じます。ヴォーカルも力強く、全体のサウンドに馴染んでいます。

・トラック5  The Great Gig in the Sky
ピアノの中域が強くなりました。太い音です。スキャットは若干丸くなりました。

トラック6  Money
レジの音、ピンを跳ねる音など見ても輪郭がはっきりしてきたかなと感じます。サックスについては2022の方がジュルジュル感があり、リアルに感じます。ギターソロの最初のところ、ディレイで大きく左右に開くのではなく中心寄りなりました。

トラック7-10  Us and Them〜Eclipse
ここから一気にメドレーで切れ間なく最後まで続きます。前と違ってUs and Themのサックスは2023の方が力強く感じます。Any Colour You Likeは音の輪郭が柔らかくしっとりしてきました。
Brain DamageからEclipseについては曲のパワーが強すぎて音質云々はもうどうでも良い世界になります。(うわぁテキトー)

総じて2023版はよりまとまってきました。ざっくりと言って違いはありますが、優劣をつけるほどではありません。好みの問題程度です。
強いて言うならPCMとDSDの違いくらいか。オーディオ的にはDSDの方が聴きやすいのですが、リアルさではPCMも捨てがたいのです。

音楽が広がっていくためにもデジタル音源の充実は期待しています。
もちろん、スローオーディオとしてのアナログの楽しみ方も捨て切れません。

演奏

<ピンク・フロイド>
ロジャー・ウォーターズ  ベース、ヴォーカル
デヴィッド・ギルモア  ギター、ヴォーカル
ニック・メイソン  ドラムス
リック・ライト  キーボード

客演等は別記2月の「狂気 : ピンク・フロイド」ご参照ください。

「狂気」これまでのリマスター歴の流れ
1973年オリジナルミックス・エンジニア 
クリス・トーマス、アラン・パーソンズ(ロンドン EMIスタジオにて)

1992年リマスタリング
ダグ・サックス、ジェームズ・ガスリー(ザ・マスタリング・ラボにて)

2011年リマスタリング 
ジェームス ・ガスリー、ジョエル・プラント(ダスブート・レコーディングにて)

2023年リマスタリング
ジェームス ・ガスリー

曲目

1. スピーク・トゥ・ミー Speak To Me

2. 生命の息吹き Breathe (In The Air)

3. 走り回って On The Run

4. タイム Time

5. 虚空のスキャット The Great Gig In The Sky

6. マネー Money

7. アス・アンド・ゼム Us And Them

8. 望みの色を Any Colour You Like

9. 狂人は心に Brain Damage

10. 狂気日食 Eclipse

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下記、通常CDです。50周年記念ではありません。

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