

これはファンクミュージックの歴史に燦然と輝くジョージ・クリントン率いるパーラメントの代表作です。
ジョージ・クリントンといえば1980年代になってソロ活動も始めますが、1970年からファンカデリックとパーラメントという超弩級ファンクバンドを率いていました。
しかもこの二つのバンドは両方とも成功してジェームス・ブラウン、スライ・ストーンに続く重要なファンク・バンドとして歴史に名を残すことになります。
この二つをまとめて「P-ファンク」とか「P-ファンク軍団」などと言われてきました。
今につながるブラック・ミュージックやファンク・ミュージックをさらに深堀して楽しむには避けては通れない重要グループです。
しかも時代は1970年代、全てはアナログで、マンパワーによって叩き出されるリズムのグルーヴは今ほどクールではありません。
すごいグルーブの超弩級ファンク・ミュージックが繰り広げられます。
代表作として最も有名なのはファンカデリックは「マゴット・ブレイン」、そしてパーラメントはこの「マザーシップ・コネクション」で、これに異論を唱える人はいないと思われます。
ですが問題もあります。
P-ファンクリアルガチ勢からしたら笑止千万な話でしょうが、ジェームス・ブラウン以上に健全な青少年、少女にはおすすめしにくい人たちなのであります。
リーダーのジョージ・クリントンを筆頭にパッと見、繊細さに欠けたガサツな人たちに見えなくもありません。
ジョージ・クリントンなんて画像検索された日には、レインボーカラーの髪とか変なサングラスとか奇抜なファッションとか、普通の感覚をお持ちでは最初からついていけない気持ちになります。
紹介する方も変態扱いされそうな勢いです。
一般的にブラック系ファンクバンドというと視覚的にも音楽的にもパリピな人たちがクスリでハイになってワイワイ演っている、なんか超アブネー集団にしか見えない、と感じる人もいっぱいいると思われます。
しかも残念ながらそのイメージを広げたのは多分この人らです。


男子に勧めるにはロック的なかっこよさ、レッド・ツェッペリンとかビートルズ、デヴィッド・ボウイみたいなスマートな視覚的要素が全くないので、すんなり受け入れてもらえる確率は少なそうです。
所詮男の子なんてかっこいいもの、それでいて親近感が湧いて楽しいものにしか興味がないのです。
ましてや女子に勧めるのはもってのほかです。
ちょっと試し聞きしてもらおうと思って
「ちょっと試してごらん、ほーら全然怖いことなんてないんだよ」・・・いけません、これではこちらが変質者となってしまいます。
たとえ自分の娘でも正直「ジョージ・クリントン大好き」なんて言ってほしくはないのです。
「それだけはやめておきなさい」と強く言うかもしれません・・(なんか趣旨と矛盾してないか?)。
そんなこんなで苦労して聞いてみてもらったところで、ブラック・ミュージックに造詣が深くない人にとっては、ただただダンス用ワン・パターンのパーティ・ソングばっかりと思われかねません。
・・・で、なにこれ状態です。
しかもマイケル・ジャクソンやスティーリー・ダンなどのように全てが完璧に計算され、細部に渡って精密にプロデュースされているようなアルバムに比べれば、作り込みが浅く粗い音の塊に感じるかもしれません。
ということでいろいろとマイナス面ばかり述べてきたのですがが、これまたすべては愛情の裏返しと思っていただければ幸いです。
(フォローになっていません)
そんなP-ファンク軍団をいかに興味を持ってもらおうかと考えていたところ、本屋さんで素晴らしい本を見つけました。
タイトルずばり「ファンク超大全 The Ultimate Guide to FUNK」という2026年8月刊行のファンクアルバム紹介本です。
監修はあの「ディスクユニオン」、これはもうハズレようが無いというものです。
内容を見ると「ファンク・ミュージックの本流とはジェームス・ブラウンに始まり、スライ・ストーン、P-ファンクなどが裾野を広げ、プリンスが登場してデアンジェロなどへと引き継がれていった」みたいなことが記されています。
私は別にファンク命と思っているほど熱心でもなく、今の状況にもついていっているわけでもないのですが、かねてからおおまかに感じていたことをキッパリと文章にしていただき感謝と共に溜飲が下がる思いです。
(普通に音楽ファンならこのくらいは東から太陽がのぼるくらい当たり前でしょうが)
よって私もジェームス・ブラウン、スライ・ストーン、プリンスと紹介してきた手前、P-ファンクがなければ片手おちということです。
ということでジョージ・クリントン率いるP-ファンク軍団を象徴する大名盤といえば、9割以上の人が口を揃えるであろうパーラメントの「マザーシップ・コネクション」です。
ヒット曲もあり、個人的にも割と素直に誰でも聴きやすい極上ファンクアルバムでおすすめです。
ここでジョージ・クリントンがいかに凄いのかを解説すべく、パーラメントとファンカデリックの違いを説明させて置いてもらいます。
「パーラメント」はR&Bの系譜をいくファンク・バンドです。
なのでホーン・セクションなどもよく登場します。
ジョージ・クリントン曰く「宇宙のファンク」だテーマだそうで広大で浮遊感あふれるファンク・ミュージックが続きます。
タイトルや内容もそれに合わせた皮肉やシャレ、悪ノリを効かせたものですが、そこら辺は各自で深堀りしていただきたいと思います。
「ファンカデリック」はロックバンド編成で超絶なサイケデリック・ファンキーなサウンドで、ジミ・ヘンドリクスを彷彿させるようなギターが炸裂したりするファンクバンドです。
ブルーズからの流れも感じられ、パーラメントよりも生活感のあるアーシーなサウンドとなっています。
この二つのバンド(実はメンバーもだいぶ被ってたりします)をスマートに使い分け、まとめ上げてファンク道を邁進するジョージ・クリントンはやはり並の人ではありません。
普通ならこんないい加減な大所帯なんて、即ぐだぐだになって消滅の道まっしぐらとなりそうなものです。
しかしそうはならずにそれぞれがきちんと管理されていました。
これだけみてもただのジャンキーでパリピな快楽主義者ではないことがよくわかります。
(すいません、褒めているつもりです)
その実、ジェームス・ブラウン同様に仕事熱心さが伺える御仁なのです。
<まとめ>
でもなんだかなあ、音楽(サウンド)以外あんまりマジメに褒める気にもならないんだよなあ、この人たち。
最後に個人的な簡素いうになりますが、P-ファンク軍団とは友達との身内ノリで世界を制覇し大成功してしまったバンドというイメージです。
最近それと同じ感覚を覚えるのは、音楽性は全然違いますがハードロック・バンドンのAC/DCです。
「仲間うちでつるんでいた俺たち、面白いことを突き詰めていったら、世界に通用するものが出来ちゃったぜ」、という中高生の男子がそのまま大人になったみたいで、なんか微笑ましいものを感じるのであります。

アルバム「マザーシップ・コネクション」のご紹介です。

曲目
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。
1, P.Funk (Wants to Get Funked Up) ピー・ファンク
(ジョージ・クリントン、ブーツィ・コリンズ、バーニー・ウォーレル)
宇宙のマザーシップからラジオ局を乗っ取って全世界にファンクを聞かせようという体(てい)です。
歌詞的には数行のものですが、いきなり凄いファンク感です。
2, Mothership Connection マザーシップ・コネクション
(ジョージ・クリントン、ブーツィ・コリンズ、バーニー・ウォーレル)
呪術的なノリのファンクです。フランク・ザッパのような気持ちの悪い(?)ヴォーカルも出てきます。
みんなでファンキーに踊って盛り上がろうという内容です。
ブリッジ部で
Swing down, sweet chariot
と少しゴスペルを感じさせてくれる歌詞が登場します。
3, Unfunky UFO アンファンキー・UFO
(ジョージ・クリントン、ブーツィ・コリンズ、ギャリー・シダー)
リズムのキレが素晴らしく、ベースとドラムを聴いているだけでも痺れます。
ファンキーじゃないUFOがやってきて俺たちのファンキーを奪おうとしています。
4, Supergroovalisticprosifunkstication スーパー・ファンク
(ジョージ・クリントン、ブーツィ・コリンズ、ギャリー・シダー、バーニー・ウォーレル)
70年台らしいディスコ的なノリも感じます。これでもかと出てくるシンセのスライドを使った音も印象的です。
「スーパーグルーヴァリスティックプロシファンクティケーション」邦題は手短に「スーパーファンク」。
人々が望むもの、欲しいものをぶちかませ、という内容です。
5, Handcuffs ハンドカフス
(ジョージ・クリントン、グレン・ゴインズ、ジャネット・マクラフリン)
手錠をかけられ捕まってしまいます。
パーラメントは最初ドゥーワップのグループから始まったそうなのですが、それを少し体験できます。
そしてフランク・ザッパと通じる世界も感じられます。
6, Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker) ギブ・アップ・ザ・ファンク
(ジェローム・ブレイリー、ジョージ・クリントン、ブーツィ・コリンズ)
ファンクを渇望する内容です。
ヒットしたナンバーで、60歳以上の方はディスコなどで一度くらいは耳にしたことがあるであろうヒット曲です。
7, Night of the Thumpasorus Peoples ファンキー・オールナイト
(ジョージ・クリントン、ブーツィ・コリンズ、ギャリー・シダー)
侵略が完了して地球はサンパソルス族で溢れかえっているという内容です。
重量感あふれるファンキーリズムにやる気のなさそうなコーラス、これまたご機嫌なファンクナンバーです。
普通音楽では使わない(使えない)荒くて普通のスピーカーでは再生不可能と言いたくなるような音が平気で出てきます。
演奏
- ボーカル
ジョージ・クリントン
(「P. Funk (Wants to Get Funked Up)」と「Mothership Connection (Star Child)」でリードボーカル)、
カルヴィン・サイモン、ファジー・ハスキンズ、レイ・デイヴィス、グラディ・トーマス、ゲイリー・シダー
(「Handcuffs」で共同リードボーカル)、
グレン・ゴインズ
(「Unfunky UFO」と「Handcuffs」でリードボーカル)、
ブーツィー・コリンズ - ホーンセクション
フレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカー、マイケル・ブレッカー、ランディ・ブレッカー、ブーム、ジョー・ファレル - ベースギター
ブーツィー・コリンズ、コーデル・モッソン - ギター
ギャリー・シダー、マイケル・ハンプトン、グレン・ゴインズ、ブーツィー・コリンズ - ドラムとパーカッション
ティキ・フルウッド、ジェローム・ブレイリー、ブーツィー・コリンズ、ゲイリー・クーパー - キーボード
バーニー・ウォーレル
(ミニモーグ、ウーリッツァー・エレクトリックピアノ、ARP Pro Soloist and String Ensemble、RMI Electra Piano、ハモンドオルガン、グランドピアノ、フェンダーローズ、クラビネットD6 ) - バックコーラスと手拍子
ゲイリー・クーパー、デビー・エドワーズ、タカ・カーン、アーチー・アイビー、ブライナ・チメンティ、ラスプーチン・ブッテ、パム・ヴィンセント、デブラ・ライト、シドニー・バーンズ
プロダクション
- プロデューサー
ジョージ・クリントン - エンジニア
ジム・ヴィッティ(ミシガン州デトロイト)、ラルフ(ウープス)ジム・キャロン(カリフォルニア州ハリウッド) - マスタリング
アレン・ゼンツ - 写真
デビッド・アレクサンダー - アートディレクションとデザインはGribbitt!によるものです。




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