数々の伝説を持つブリティッシュ・ハードロックバンド、ディープ・パープルの1974年にリリースした8枚目のアルバム「紫の炎」です。アルバムに納められれているタイトル曲「バーン」と「ミストリーテッド」に代表されるハードロック・クラシックによって永遠の名盤となりました。
このアルバムかではリードヴォーカルがイアン・ギランからディヴィッド・カバーディルへ、ベースがロジャー・グローバーからグレン・ヒューズに交代しています。ディープ・パープルの第3期の布陣です。
この布陣は次の「紫の使者」(原題 : Stormbringer)まで続きます。若干バンドはソウルフルな方向へいきますが、ギターのリッチー・ブラックモアはその方向は許せなかったらしく次作リリース後に脱退してしまいます。
そして自分の理想とするバンド「リッチー・ブラックモアズ・レインボー」を結成し、1980年代中期までハードロックを牽引します。(1984年に解散しますが、その後何度か再結成しています)
やはりディープ・パープルサウンドの要はリッチーのギターでした。彼の嗜好が生かされたアルバムほど名盤となっています。
「イン・ロック」「マシーン・ヘッド」「バーン」がそれです。
前作「紫の肖像」(原題 : Who Do We Think We Are)はちょっとブルーズ感を入れたと評されるアルバムでしたが、如何せんパープルにブルーズは似合いませんでした。(というか誰もそれは期待していません)
結果、地味なアルバムという烙印を押されてしまい、パープルのカタログの中でも評価は高くありません。
「ウーマン・フロム・トーキョー」が入っているので、日本では話題となりました。
私の世代なんかではツェッペリンとパープルは全く別物という感覚ですが、最近の若い人からしたらピンク・フロイドのギターからパープルの「ミストリーテッド」までみんなブルーズの範疇とのことです。
きっと1970年代あたりまでのハードロックはみんなブルーズっぽいということなんでしょう。
なんか、わかる気もします。
という健全な世代間格差を感じる今日この頃です。
しかし今回ご紹介する「紫の肖像」の次の作品「紫の炎」でまたクラシックアレンジを取り入れました。オープニング曲「バーン」も見事なまでのアレンジで完璧に仕上げました。
この辺がブルーズからインスピレーションをもらうレッド・ツェッペリンと違うところです。
結果を見ればツェッペリンはアメリカで評価されることに成功しましたが、パープルは主にヨーロッパ、日本で評価されることになります。
しかしこのアルバム「バーン」はアメリカでも健闘してビルボードで9位まで上昇しました。(イギリスでは3位です)
リッチー・ブラックモアをはじめメンバーは全員否定していますが、ジョージ・ガーシュインの「Fascinating Rhythm」との関連も指摘されています。
これです。
うん、聞けばなるほど微妙ですね。
そしてまた勢いに乗り70年代ハードロックシーンをリードしていきます。
アルバム「Burn」のご紹介です。
演奏
ディヴィッド・カバーデイル ヴォーカル
リッチー・ブラックモア ギター
グレン・フューズ ベース、ヴォーカル
イアン・ペイス ドラムス
ジョン・ロード キーボード、シンセサイザー
プロデューサー、エンジニア ディープ・パープル
ミキシング・エンジニア マーティン・バーチ
曲目
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。
作詞、作曲は基本、メンバー全員の連名です。
1, Burn バーン
パープルらしい完璧な曲です。疾走するリズムの中でギターとキーボードがスピードと強弱を変えながらソロを取ります。ギターは切れ味鋭くつっこみ、キーボードが雄大に広げていきます。そしてドラムの素晴らしさです。
2, Might Just Take Your Life マイト・ジャスト・テイク・ユア・ライフ
マシン・ヘッドと同じく2曲目はミディアムテンポの曲です。ヴォーカルの良さが出ています。
3, Lay Down, Stay Down レイ・ダウン・ステイ・ダウン
なんとなくアメリカンロックな曲です。リフとキメがメリハリをつけています。
4, Sail Away セイル・アウェイ
ミディアムテンポで重い感じで進むところが好きです。
5, You Fool No One ユー・フール・ノー・ワン
今までになかったファンキーな感じで始まります。メロディアスで曲が完成されています。
6, What’s Goin’ On Here ホワッツ・ゴーイン・オン・ヒア
ハードロック風ではないのですが、ファンキーでアメリカでも受けそうな曲です。
7, Mistreted ミストリーテッド
リッチー・ブラックモアはディープ・パープルを脱退してレインボーを結成し、そこでもライブでこの曲を演ってます。リッチーはこういうのが演りたかったのですね。
8, ‘A’ 200
ジョン・ロードとリッチー・ブラックモアの趣味全開のインストルメンタルです。クラシックを意識したアメリカのバンドにはない曲調です。
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