ブルーズ界の3大キングと呼ばれる御三方がいらっしゃいます。
アルバート ・キング様、フレディ・キング様、そしてこのB.B.キング様です。
中でも一番高名なB.Bキング様の代表アルバム「コンプリートリー・ウェル」のご紹介です。
昔から日本ではブルースといえばB.B.キングというくらい有名でした。2015年に亡くなられるまで、そういう突出した存在感は変わりませんでした。
3大キングと言われる中でも最も成功したブルーズマンです。
エリック・クラプトン、スティーヴィー ・レイ・ヴォーンなどを始めとする欧米のロック系ギタリストのインタビューを見るとこの3大キングに影響を受けたとするミュージシャンがとても多いのです。
もっとも彼らの場合は立派に成功したB.B.より、まだ正当に評価されていない影の大物ブルーズマンでアルバートとフレディにもスポットライトを当ててもらいたいという思いやりと敬意を感じます。そこらへんもブルーズ愛が溢れて面白いところです。
B.B.キングが日本でも支持されるのはこれぞというくらい日本人から見たブルーズのイメージにはまっているためだろうと思われます。
スマートで洗練されているモダン・ブルーズのスタイルです。
これは本人も影響を受けたと自認する先達、Tボーン・ウォーカーの系統でジャジーでアーバンな雰囲気も兼ね備えているからです。
しかもインタビュー記事を見るとB.B.キングの発言はとっても謙虚なものが多く、オレ様第一で自分を主張して他を認めないとか、頭から否定するなんてことはありません。
真面目に受け答えをする大人の対応で、人柄的にも日本人に好かれるタイプです。
ブルーズの世界では他の人の功績をさも自分がやったようにいう人も結構いるのですが、そういう中では本当に既得な人です。
あるインタビューで「俺は耳も良くないし、頭も良くないから、最近の若い奴らのように早く弾けないんだよ。それが俺のスタイルなんだ。すごいよね、最近の若い人は」なんて言ってました。しかもそれが妙に嫌味に感じさせないのです。
B.B.キングはふところが深く大概のことは笑ってかわせる大人の男でした。それは過酷な人生と努力の賜物かもしれません。
などと言っても日本のみならず世界的に見ても、ブルーズ界ではB.B.キングが一番成功したミュージシャンです。
富も名声もあり、アメリカ国内に「B.B.King Blues Club」というライブハウスがたくさんあります。
ブルーズを演奏するミュージシャンにとっても今更、B.B.の名前を出すのも恥ずかしいくらいの大きな存在となってしまいました。
来歴
B.B.は1925年9月16日にミシシッピ州バークレアというところで生まれます。10代の頃までは祖母に引き取られたりしながら綿花畑で働きました。
18歳くらいの時にトラクターの運転手をしながらゴスペルのグループでギターを演奏し音楽活動を始めます。
20歳を過ぎた頃にメンフィス でラジオのDJを始めます。この時「ビール・ストリート・ブルーズ・ボーイ」と呼ばれました。それが「ブルーズ・ボーイ」となり、B.B.となります。
この頃T ボーン・ウォーカーを知って、ギタリストになること以外は考えなくなったそうです。
1952年に「スリー・オクロック・ブルーズ」がヒットして以降、ブルーズのキングとしてずっと君臨しました。アルバムは40枚以上リリースされ、名実ともにトップに君臨していました。
2015年5月14日に89歳で逝去されるまでその位置は不動でした。
偉大なるブルーズギタリスト、B.B.キングの愛用するギターは長らくギブソン のES-335、ES-355などでした。自分の愛器を「ルシール」と呼んでいました。
1980年からはギブソン ES-355のFホールをなくしたモデルで「ルシール」というモデルのギターが正式に発売されました。
B.B.はインタビューで「仕事で使うからルシールを2本持っている。予備は必要だからね。10本持っていたって私はそんなに全部弾けないよ。」と答えています。(私はプロでもないのに10本くらい持っています。すみません)
アルバム「コンプリートリー・ウェル」のご紹介です。
1969年にリリースされたアルバムです。
ヒット曲「スリル・イズ・ゴーン」が入っています。音も演奏も極上です。
演奏
B.B.キング ギター、ヴォーカル
ヒュー・マクラッケン ギター
ジェラルド・ジェモット ベース
ハービー・ラヴェル ドラムス
ポール・ハリス ピアノ、エレクトリックピアノ、オルガン
Bert “Super Charts” DeCoteaux ストリングス アンド ホーンアレンジ
曲目
*参考までにyoutube音源と動画をリンクさせていただきます。
1, So Excited ソー・エキサイテッド
いきなりバックも上手いなあ、と思ってしまいます。ノリがいいです。B.B.とヒュー・マクラッケンのギターもあえて音質を変えているのかもしれませんが、違いがわかって面白いのです。
2, No Good ノー・グッド
得意のスローブルーズです。声を張り上げるB.B.はオフマイク気味で歌います。音質が良いとこういうちょっとした雰囲気わかるのでいいのです。
3, Your Losin’ Me ユア・ルージン・ミー
シンプルでクリアーなギターのファンキーフレーズで始まります。ドラムとベースがとってもいいのです。
4, What Happened ホワッツ・ハップンド
これも得意のスローブルーズです。ちょっとソウルっぽい名曲です。ホーンも控えめなアレンジで歌を盛り上げます。
5, Confessin’ the Blues コンフェッション・ザ・ブルーズ
たたみかけるようなシャッフルでノリの良い曲です。
6, Key to My Kingdom キー・トゥ・マイ・キングダム
あまりブルーズっぽくはないですが、軽めでゴスペルチックでメロディが綺麗でいい曲だと思います。
7, Cryin’ Won’t Help You Now クライン・ウォント・ヘルプ・ユー・ナウ
タイトなリズムで安心して音楽に浸れます。サイドギターのヒュー・マクラッケンさんもソロを取っています。
8, You’re Mean ユア・ミーン
前のトラックとつながっています。これでもかとギターバトルを堪能できます。大作というより腕の達者な奴らが繰り広げるセッションです。途中静かになってベースがひっぱり、ピアノが入ってくると妙に興奮します。B.B.も笑って上機嫌です。フェイドアウトで終わりますがいつまでも聴いていたいようなセッションです。
9, The Thrill Is Gone スリル・イズ・ゴーン
オーケストラも入ります。B.B.キングの代表曲です。
曲ごとにギターのトーンを変えて演っています。丁寧で音質もいいリマスター だと思います。
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