「1960年代後半、多様化するロックに正攻法アメリカン・スワンプロックで中央突破したCCR」Chronicles : The 20 Greatest Hits : Creedence clearwater Revival / クロニクルズ : ザ・20グレイテスト・ヒッツ : クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル

 1960年代後半から1970年代初期にかけてヒット曲を連発し、今からすれば短い活動期間ながら素晴らしい楽曲と共に語り継がれているバンドがあります。クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルです。
1970年あたりが青春真っ只中だった世代が高齢となった今では「アメリカの良心」的な捉え方もされています。

ドラマや映画でも時々使用されています。個人的に印象的だったのは映画ダイ・ハード4.0で「フォーチュネイト・サン」が効果的に使われていました。

クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルという変なバンド名はその時のコマーシャルなどからインスピレーションを得て作られたバンド名だそうです。
ジェファーソン・エアプレーンとかバッファロー・スプリングフィールドなどのバンドが流行っていたので、そういった奇妙な名前にしたかったとか。
だいたい長すぎるのでCCRと略されて、オリジナル名と変わらないくらい、いやそれ以上にその呼ばれ方は有名です。
そういう変わったバンド名はいつの時代でも多いものです。日本でも「スキマスイッチ」とか「オフィシャル・髭・ダンディズム」とかが頑張ってヒットしていますので、バンド名がそそうそう変であっても別に違和感は感じません。

CCRはカリフォルニア州サンフランシスコ周辺のエルセリート出身の男たちで結成されました。メンバーはトムとジョンのフィガティ兄弟とスチュ・クックとダグ・クリフォードの4人です。

最初はブルー・ベルベッツというバンド名で数年、次にザ・ゴリウォッグスと名乗って数年活動しましたが成功とは程遠い状態でした。
一説によるとゴリウォッグスバンド名はレコード会社から勝手につけられたものだそうで、Golliwogとは奇怪、とか怪物という意味合いなので本人たちは嫌がっていたそうです。(普通そうだわな、だったらなんかパワハラ感まで感じますね)
まだまだロック、ポップスのミュージシャンは消耗品の時代でした。
1967年にクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルになりました。

CCRとなってからまず1968年に、「スージーQ」がベイエリアでヒットし始めます。
デビューアルバム「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」は1968年7月にファンタジー・レコードからリリースされ、11位となるヒットとなります。
ここで足場を固めたCCRは解散までの4年間弱、次々とヒット作を連発します。

CCRの音楽はバイユーとかニューオリンズとか綿花畑とかアメリカ南部を歌うものが多く、一見西部カリフォルニア出身の人たちが作るものとは思えませんが、思えばリトル・フィートもそうです。アメリカ人共通の故郷感があるのだと思います。
リトル・フィートはアメリカ南部のセカンドラインなどのファンキーなリズムを取り入れたバンドでしたが、CCRはブルーズ、ソウルをうまくアレンジしてロックに持ち込んだイメージです。

CCRのサウンドは至ってシンプルです。シンプルでカチッとした音楽をコンパクトにまとめて3分くらいの音楽で表現します。
聴いているとなんとなく相当に演奏を磨き込んでいる感じがします。そこら辺のぽっと出のアイドルバンドと違って何度も何度も繰り返し演奏してまとめ上げた感じです。(個人の思い込みです)
なので突出した花形プレイヤーはいませんが、いつでもどこでも同じ品質で演奏できるような感じなのです。
ライブが安定している所以です。

今年、CCRの1970年ロイヤル・アルバート・ホール公演のドキュメンタリー映画が放映されましたので、見てきました。改めてカッチリした演奏をするバンドだと思いました。(当然、ミニシアター系でしかやっていませんが)

CCRは1曲1曲が独立した完成度を持っているため、アルバムによってコンセプトが違うとか、方向性が全く違うということはあまり感じません。(あるにはありますが)

なのでシングルヒットが多く、この時代のロックバンドにありがちなアルバムごとに変遷するトータル、コンセプト志向ではありません。
よってベストアルバムでも、というかベストアルバムこそ、彼らの良さが十分に伝わるというこの時代では稀有なバンドです。
ベスト盤を聴いて、各アルバムを掘り下げていくということに向いているバンドです。

個人的にはこのアルバムに収録されていない「ミッドナイト・スペシャル」と「コットン・フィールズ」の素晴らしいロックアレンジも入れて欲しかったところです。
(オリジナル・スタジオアルバムは全部で7枚ですので、コレクションしやすいですよ)

こういうCCRみたいなバンドは完璧主義のリーダーがいて、バンドがリーダーを中心にまとまっているうちはいいのですが、バランスが崩れてくるとお互いにフラストレーションが溜まって分裂方向へ向かいやすいものです。
CCRもその例に漏れず、まず兄のトム・フォガティが脱退し、他の二人はバンドの中心であるジョン・フォガティと修復不可能な関係になってしまいます。
ずっと同じ固定メンバーで活動していましたが、ジョン・フォガティと他のメンバーで最終的にはもう元に戻せないくらいの深い溝ができてしまいました。

といってもリリースした楽曲は強力で、時代を超えて、ある意味アメリカンロックの象徴のようになりました。今でもほとんどのアメリカ人が知っているのでは?と思えるくらいのネームヴァリューを持っています。

というところでご紹介するのは1976年、解散後にLP2枚組でリリースされたベストアルバム「クロニクル」です。

演奏
ジョン・フォガティ  ヴォーカル、リードギター、プロデュース・アレンジメント
スチュ・クック  ベース
ダグ/クリフォード  ドラムス
トム・フォガティ  リズムギター、ヴォーカル(除くTr.19,20)

曲目
*参考までにyoutube音源をアップさせていただきます。

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1,   Susie Q     スージー・Q

1stアルバムに収録されている1957年にヒットしたデイル・ホーキンスのカバーです。CCRはカバー曲にもロックぽい硬派なアレンジでいいものがいっぱいあります。
1syアルバムの最後に11:46の長尺ライブバージョンが入っていて、ギターソロがふんだんに聴けます。

2,    I Put A Spell On You アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー

1stアルバム「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」のオープニング曲です。1956年のスクリーミン・ジェイ・ホーキンスのヒット曲のカバーです。いきなり黒い感じで始まるところが渋くていいアレンジです。

3,   Proud Mary プラウド・メアリー

2ndアルバム「バイユー・カントリー」に収録されたオリジナルの全米2位のヒット曲です。ミシシッピ川沿いに航行するメアリー・エリザベス号のことで1978年まで50年間就航していました。
都会で一生懸命働いたが、結局人のためだけに働いていると思うようになり、嫌になって田舎に戻ってきて、こっちの暮らしの方が気分がいいぜ、という内容です。
アイク&ティナ・ターナーが1970年にカバーしてこれも大ヒットし「こちらが本家か!」と思われるくらい知れ渡りました。

4,   Bad Moon Rising バッド・ムーン・ライジング

3rdアルバム「グリーン・リバー」に収録され、シングルカットしてビルボードで2位、全英1位となりました。月が不吉で天候が荒れそうだという歌詞はサウンドと相まってなんとなくアメリカ南部を感じさせます。バイユーロックとも言われていました。

5,   Lodi ローダイ

これも3rdアルバムからで、「バッド・ムーン・ライジング」のB面としてリリースされました。ずっと「ローディー」というタイトルだったので女性のことかと思っていましたがローダイとはカリフォルニアの街のことだそうです。カントリーっぽいサウンドですね。

6,   Green River グリーン・リヴァー

エッジを効かせたギターでアメリカ南部の自然を謳っています。ジョン・フォガティは実際は南部のことはそんなに知らなくて、イメージだけで作ったそうです。

7,   Commotion コモーション

都会の喧騒を否定的に歌っています。「グリーン・リバー」のB面としてシングルカットされました。

8,   Down On The Corner ダウン・オン・ザ・コーナー

4枚目のアルバム「ウイリー・アンド・ザ・プア・ボーイズ」に収録されており、「フォーテュネイト・サン」のB面としてシングルカットもされました。アルバムジャケットの雰囲気通りのジャグバンド風の素朴なサウンドです。

9,   Fortunate Son フォーチュネイト・サン

いかにもこの時代のアメリカの怒れる若者といった感じです。切羽詰まったようなヴォーカルが緊張感を模して、アメリカでも結構人気のある曲のようです。これも4枚目のアルバムからです。

10,  Travelin’ Band トラヴェリン・バンド

ロックンロールです。ロックンロールの美味しいところ全部入りです。
ここから怒涛の7曲連続で5thアルバム「コスモズ・ファクトリー」からです。

11,  Who’ll Stop The Rain フール・ストップ・ザ・レイン

言わずもがなの名曲です。情感が素晴らしい。

12,  Up Around The Bend アップ・アラウンド・ザ・ベンド

イントロからいきなりピークに持っていくパターンです。これも大名曲でCCRらしくて大好きです。

13,  Run Through The Jungle ジャングルを越えて

おどろおどろしい雰囲気だ始まりますが次第にCCRらしくなっていきます。でもまあ若干全体的に暗い感じですけど。

14,  Lookin’ Out My Back Door ルッキン・アウト・マイ・バック・ドア

「光ある限り」のB面としてシングルカットされました。
これもカントリーロックとして名作だと思います。何から何まで完璧です。

15,  Long As I Can See The Light 光りある限り

じっくりと歌い上げる曲です。曲もいいのですがやっぱりヴォーカルが一級品です。珍しくサックスソロが入ります。
ジョン・フォガティが演奏しているようです。
シングルカットもされましたがキャッシュボックス57位、全英20位とそんなにチャートアクションはありませんでした。

16,  I Heard It Through The Grapevine 悲しいうわさ

マーヴィン・ゲイのヒット曲のカバーです。私の音源はアルバム「コスモズ・ファクトリー」のバージョンと同じくガッツ溢れるアレンジで11分2秒にわたって攻め続けています。(youtubeさんは短いバージョンです)

17,  Have You Ever Seen The Rain 雨を見たかい

問答無用の名曲です。6枚目のアルバム「ペンデュラム」から。

18,  Hey Tonight ヘイ・トゥナイト

曲的にはよくできたアップテンポのロックンロールですが、なぜかもう一つ捻りがあればもっとCCRらしくなるのに、と思ってしまいます。
アルバム「ペンデュラム」からです。

19,  Sweet Hitch-Hiker スウィート・ヒッチハイカー

7thアルバム「マルディ・グラ」から、これもアップテンポのロックンロールです。こちらの方は曲にツッコミとオトシがあっていい感じです。

20,  Someday Never Comes サムデイ・ネヴァー・カムズ

最後に相応しく、ちょっとしんみりとした感じもありで終わります。これもアルバム「マルディ・グラ」に収録です。

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