「哀愁と真実のウエストコースト」Hotel California : Eagles / ホテル・カリフォルニア : イーグルス

 イーグルス、というよりアメリカン・ロックの象徴とされる不滅の名アルバムがこの「ホテル・カリフォル」です。

1976年リリースされ、世界中で大ヒットしました。

太陽とサーフィンのウェストコースト、カリフォルニアのイメージとは異なり、暗く混沌としたアメリカン・ドリームの終焉を見事に歌っています。

1970年代後半のアメリカを描いた歴史に残る名盤です。

思い出すのはその当時、日本の音楽状況の変化です。

このモンスターアルバムの出現により日本ではまだギリギリ残っていた「ロックは不良の、ガキの音楽」などというレッテルは完全になくなりました。

ロックはそれまで雑、野蛮と敬遠され気味だったポップスファンや邦楽、ニューミュージックファン、オーディオマニアなどにも受け入れられ、大人も聴ける音楽になりました。

なんだかんだ言ってもまだまだ日陰の存在だったロックが広く世間に広く受け入れられる始まりとなったのです。

同時にこれをきっかけに産業ロックと言われる大量消費を狙ったビジネスも登場しました。

つまりロックというイメージを演出したビジネスが始まったのです。(もちろんホテル・カリフォルニアがそうとは言いません)

また大人も聞けるロックということ、そして音質も極上のため年配のオーディオファンにも好意的に受け入れられました。

ちなみに当時日本の平均的なオーディオマニアというものはだいたいカーペンターズとかリンダ・ロンシュタットとかオリビア・ニュートン・ジョンあたりを、もしくはクロスオーバーと言われた軽いジャズとかポール・モーリアなどをよく聴いていたというイメージです。
(それと映画のサウンドトラックも必ず持っていたような気がします。)

イーグルスはリンダ・ロンシュタットのバックバンドのグループというふれこみもあってとっつきやすかったのかも知れません。

またそのアルバムのタイトル曲は6分30秒という長い曲にも関わらず、よくラジオでオンエアされ、当時の普段は演歌しか聴かないようなサラリーマンのおじさんでも「哀愁のヨーロッパ」並みにギターソロを口ずさめる状態でした。

日本の田舎の高校生だった私は友達と集まってはいろんな音楽を聴いて語り合っていた時期です。
リアルタイムでこのアルバムに接しました

イーグルスのこのアルバムはすごい、完璧なアルバムだと口々に褒め称えていました。

これからもこういうレベルのアルバムをいっぱい作るんだろうとか期待を込めながら話し合っていたのです。

そういう輪の中に洋楽に一番詳しい男がいました。いつも彼から洋楽情報をもらっていました。

また彼はイーグルスのデビュー以降、アルバムは全部持っていた大のイーグルスファンでした。

そしてみんなは期待を持って彼の評価を聞こうとしました。

そして彼はいいました。

「イーグルスはもうホテル・カリフォルニアで終わった」

彼の真意は10年くらい経って理解できました。彼は真のイーグルスファンでした。

イーグルスのアルバムはその後もリリースするたびに大ヒットとなっています。
でもホテル・カリフォルニアの前と後ではイメージが全然違います。ファンの層も違っていると感じます。

ということでここよりめでたくロックは大衆音楽となり、ビジネス化しました。

同じ年にトム・シュルツ率いるボストンがデビューして、翌年にはスティーリー ・ダンの「エイジャ」がリリースされます。
(この辺は質の高い、後世に残る音楽ですね)

反動として本来のロックンロールである若者の怒りの表現ということでは、一部はより先鋭化したパンク、ニューウェイヴとなっていきます。

なんか半分悪口みたいになっていますが、それくらい社会構造を変えたアルバムだったのです。

もちろん音楽的な価値も相当です。音楽好きなら一度はちゃんと聞いておくべきアルバムだと思います。

というのがロックが日陰の存在だった頃から聞いてきた私(多分そういう最終世代)の感想なのだよ。ははは。

アルバム「ホテル・カリフォルニア」のご紹介です。


演奏

グレン・フライ  ギター、キーボード、ヴォーカル
ドン・ヘンリー  ドラムス、ヴォーカル
ランディ・マイズナー  ベース、ヴォーカル
ドン・フェルダー  ギター、ヴォーカル
ジョー・ウォルシュ  ギター、キーボード、ヴォーカル

プロデューサー、ミキシング・エンジニア  
ビル・シムジク


曲目
*参考までにyoutube音源をリンクさせていただきます。


1,  Hotel California  ホテル・カリフォルニア

最後に言いたいことはギターに言わせて終わります。完璧な曲です。


2,  New Kid in Town  ニュー・キッド・イン・タウン

ミディアムテンポで雰囲気の良い曲です。
1曲目があまりにドラマチックなので、仕切り直しといった感じでしょうか。

3,   Life in the Fast Lane  駆け足の人生

王道ロックです。特にブレイクしてからベースのリフが入るところが満点です。

4,   Wasted Time  時は流れて

こういう曲は普通のロックバンドではできません。
全員相当な実力がないとただのダラダラした曲となってしまいます。
やはり只者ではありません。

5,    Wased Tome (Reprise)  時は流れて(リプライズ)

今となっては「ナニコレ」ですがLPレコードだと意味があるのです。

6,    Victim of Love  暗黙の日々

気合を入れ直してハードに行きます。
でもサザンロックとは違います。

7,    Pretty Maids All in a Row  お前を夢見て

個人的にはこういう曲がイーグルスらしくていいと思います。

8,     Try and Love Again  素晴らしい愛をもう一度

これも今までのイーグルスという感じです。いい曲です。

9,   The Last Resort  ラスト・リゾート

大団円です。ドラマチックで人気のある曲です。

構成といい楽曲といい非の打ち所がありません。売れるはずです。

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